KIT2022航空宇宙ニュース2022WK28

ジェームス・ウェブ望遠鏡がとらえた何千もの銀河(中には46億年前の銀河も含まれている)
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK28

海外のニュース

1.ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の初画像が公開、宇宙の一角に何千もの銀河

米国バイデン大統領は7月11日、米国航空宇宙局(NASA)などが昨年末に打ち上げた「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が撮影した最初の画像を公開した。多数の銀河が集まった銀河団「SMACS 0723」と、背後にある遠くの銀河たちが収められており、遠方宇宙の赤外線画像としては、これまでで最も深く鮮明なもので、赤外線で観測された最も暗い天体を含む何千もの銀河が写っている。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)はNASAなどが開発した宇宙望遠鏡で、2021年12月25日に打ち上げられた。今年1月に観測を行うための軌道に到着し、望遠鏡の調整や試験観測を進め、今回初めてフルカラーの画像が公開された。公開されたのは、遠方宇宙の赤外線画像としては、これまでで最も深く鮮明なもので、JWSTの近赤外線カメラ「NIRCam」を使って12時間半かけて取得した、波長の異なる画像を合成したもの。先代機にあたるハッブル宇宙望遠鏡で数週間かけて合成した画像をゆうに超える深度の画像が得られたという。【マイナビニュース】

【NASA提供:ジェームス・ウェブ望遠鏡がとらえた銀河】

日本のニュース

1.ユーグレナとORC、代替燃料で離島遊覧飛行

ユーグレナと長崎空港を拠点とするオリエンタルエアブリッジ、JTBの3社は7月15日、代替燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)」を使用した遊覧飛行を組み込んだツアー商品を発売した。長崎県の五島列島を遊覧し、離島振興を通じ持続可能な地域づくりに3社共同で取り組み、脱炭素社会の実現を目指す。ツアーは9月20日から23日までの3泊4日で、五島列島の福江島に宿泊。2日目の21日に遊覧飛行を組み込む。遊覧飛行には、原料に使用済み食用油とミドリムシ(微細藻類ユーグレナ)由来の油脂を使ったユーグレナ製バイオ燃料「サステオ」をSAFとして使用し、福江島上空を約40分間遊覧する。ツアーはJTBのラグジュアリー旅行専門店「ロイヤルロード銀座」で取り扱う。サステオは燃料の燃焼段階では二酸化炭素(CO2)を排出するものの、使用済み食用油の原材料となる植物とミドリムシは、成長過程で光合成によりCO2を吸収するため、CO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に期待されている。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:ORCのDHC-8-Q200型機】

2.IHI、重量物運搬と長時間飛行両立するドローン試作機 ロータリーエンジンとモーターで

IHIグループのIHIエアロスペースは、ガソリンロータリーエンジンと電気モーターによるハイブリッドドローン「i-Gryphon」の試作2号機を7月20日から東京ビッグサイトで開かれる「第8回国際ドローン展」に初出展する。マルチコプター型ドローンで、重量物の運搬と長時間飛行の両立を目指している。eコマース(電子商取引)の拡大や、日本の少子高齢化による物流業界の人手不足に対し、バッテリーで飛行するドローンは省人化や無人化の切り札として期待されている。一方、バッテリー性能の限界で滞空時間を延ばせず、30kg程度の荷物を積むと飛行時間が5分から10分程度となってしまい、近距離輸送向けに留まっている。IHIはガソリンで動くロータリーエンジンを併用することで、36kgの搭載物と11kgの燃料を積んで約50分飛行できるようにした。また、円筒形のダクトの中にプロペラ状のローターファンを設置する「ダクテッドファン」を採用し、安全性を向上させた。可搬重量を確保するため、ドローンに大型ローターを搭載した場合、直径が大きくなるとローターのガードを取り付けられないことから、同じ推力を小さな直径で達成できるダクテッドファンを採用した。試作2号機の大きさは全長3180mm、全幅3180mm、全高1200mmで、重量は102kg。最大ペイロードは47kgで、航続距離は50km、耐風性能は14m/s、巡航速度は60km/h、ホバリング限界高度は3000mとなり、IPX4の防滴性を持つ。エンジンはツインロータリーで、排気量は600cc。【Aviation Wire News】

【IHIエアロスペース提供:ロータリーエンジン搭載ドローン「i-Gryphon」】

3.国交省、新飛行検査機ロンジチュード導入 Q300置き換え

テキストロン・アビエーションは、国土交通省航空局(JCAB)の飛行検査センターに新型の飛行検査機セスナ・サイテーション・ロンジチュード(700、登録記号JA701G)をこのほど引き渡した。ターボプロップ機のボンバルディアDHC-8-300(Q300、JA007G)を置き換えた。今回納入された機体は、飛行検査装置「UNIFIS 3000-G2」を搭載。ILS(計器着陸装置)のカテゴリーI、II、III(ILS Cat I、II、III)、GBAS(地上直接送信型衛星航法補強システム)、VOR(超短波全方向式無線標識施設)、TACAN(極超短波全方向方位距離測定装置)などの航行補助機器を検査できる。JCABは、2015年10月にサイテーションCJ4(525C)をベースとした飛行検査機を初導入。3機体制でスタートし、現在は5機を運用している。ロンジチュードは6月14日に引き渡され、20日に日本国籍機としての航空機登録がなされた。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供:JCAB 飛行検査機として導入されたセスナ・サイテーション・ロンジチュード】