KIT航空宇宙ニュース2026WK11
海外のニュース
1. FAAは、航空会社に対し、ボーイング787型機の「シムギャップ」による疲労を検査することを義務付ける提案を行った。
連邦航空局(FAA)は、構造部品間の「シムギャップ」が大きすぎるという製造上の欠陥によって生じた疲労亀裂について、航空会社に787型機の検査を義務付ける予定だ。FAAが3月12日に発表した耐空性指令案は、787型機に影響を与えるギャップ関連の構造的問題に対処するために規制当局が講じた最新の措置である。胴体各部間の隙間が大きすぎるため、ボーイングは近年、納入前に数十機の787型機に再修理を施さざるを得なかった。FAAが新たに提案した規則は、ボーイング社が787型機の「機体下部接合板」の部品に関する「製造上の欠陥および過剰な予荷重」について行った調査に対応するもの。これらの接合板は「下部外側翼の外板に共通」であり、構造部品を接合するために使用される。ボーイング社の調査によると、「シムの隙間が設計上の許容範囲を超えている可能性があり、部品にかかる高い引き上げ力によって、締結穴に疲労亀裂が発生する可能性がある」ことが判明した、と規則案には記載されている。 これらの亀裂は「主翼構造を弱体化させ、最終的には限界荷重に耐えられなくなる可能性がある」。ボーイングは2025年8月、この特定の問題に対処するため、運航会社に対し、787型機のスプライスプレート、スパーターミナルフィッティング、コード、ジャックパッドなどの部品に亀裂がないか点検するよう指示するアラート通報を発行した。FAAが提案した命令案は、これらの検査と必要な修理を義務付けるもの。しかし、対象となるのは米国登録の787型機17機のみで、米国内の全機は対象外となっている。これはおそらく製造時期によるものだろう。FAAは45日間、一般からの意見を募集している。提案された規則では、ボーイング社の「既存の構造検査プログラムは、故障が発生する前に主要構造要素の亀裂を十分な確率で検出するには不十分である」と述べている。数年前、同社は787型機の複合材製胴体の一部に隙間が大きすぎるという問題への対応に追われていた。2024年には、ボーイング社の内部告発者によって問題が指摘されたことを受け、連邦航空局(FAA)が調査を開始したというニュースが報じられた。【Flightglobal news】

【ボーイング社提供:787型機の胴体外板の平面度を評価するために使用するツール(四角い板)】
2.アセンダンス社、電動ハイブリッドVTOL機の実証機の組み立てを開始
アセンダンス社の電動ハイブリッドVTOL機「Atea:アテア」のプロトタイプは、トゥールーズにある同社の工場で最終組立段階に入った。 フランスのスタートアップ企業は2025年7月、実機の組立を2026年初頭までに完了させる予定だと発表していた。機体は航空機用複合材構造の専門企業であるデュキエン・グループが製造し、アセンダンス社のチームの指導の下で設計された。「この戦略的な節目は、長年にわたる設計作業、空力最適化、そして工業化の集大成を示すものです」と同社は説明した。機体構造が完成したため、同社は推進装置、飛行制御システム、およびアビオニクスの統合を開始すると発表した。これには、過去5年間で開発された同社独自の分散型電気推進システム「Sterna」の最新バージョンも含まれる。Sternaは、Turbotech社製のターボ発電機に加え、Safran社製の電気モーターとフランスのExoes社製の熱管理システムを組み合わせている。4人乗りのアテア 航空機は、垂直揚力を得るために前後の翼にそれぞれダクトファンが2基ずつ設置されており、機首と尾部にプロペラが取り付けられている。最終的な形状は、実物大の試作機を用いた風洞試験の結果に基づいて決定された。アセンダンス社は、最終組み立ての開始は「エンジニアリングプログラムが具体的な産業的現実へと変貌を遂げたことを示すもの」だと考えているが、同社のハイブリッド電動技術は他の航空機開発企業にも提供されている。「Ateaは単なる航空機ではなく、ハイブリッド電気推進、分散推進、フライ・バイ・ワイヤ飛行制御を組み合わせた完全なアーキテクチャの実証機なのです」と、アセンダンス社のCEO、ジャン=クリストフ・ランベール氏は締めくくった。【Aviation International News】

【アセンダンス社提供:最終組み立てに入った電動ハイブリッドVTOL機「Atea」】
日本のニュース
1.内閣府、JAL・ANAを「指定公共機関」に 災害時に人員・物資の輸送協力
内閣府は3月13日、日本航空と全日本空輸の2社を「指定公共機関」に同日付で指定したと発表した。災害発生時に代替ルートなど航空輸送の早期復旧と、被災者支援への人員・物資の航空輸送協力などを担う。指定公共機関は、内閣総理大臣が災害対策基本法に基づき公共的機関や法人から指定するもので、指定された法人は、防災業務計画の策定や災害予防・応急対策・復旧などで役割を果たすことが求められる。JALによると、平時は防災業務計画の作成・修正や、防災訓練、物資の備蓄など、災害発生時には緊急災害対策本部長や指定行政機関の長などからの要請により、物資輸送・被災者の輸送などで協力するという。指定公共機関はJALとANAを含め現在111機関が指定されており、航空・空港関連では成田国際空港会社(NAA)、新関西国際空港会社(NKIAC)、中部国際空港会社(CJIAC)の3社を指定済み。【Aviation wire news】
2.ANA、ヒューストン着陸時に滑走路接触 日米が航空事故認定
全日本空輸は3月11日、米ヒューストン空港で現地時間2月27日(日本時間同日)に羽田発NH114便(ボーイング787-9型機)が着陸した際、機体尾部が滑走路に接触したと発表した。NTSB(米国家運輸安全委員会)が10日、国土交通省航空局(JCAB)は11日に、航空法などで定める「航空事故」にそれぞれ認定した。ANAによると、NH114便には乗客197人(幼児5人含む)と乗員12人(パイロット3人、客室乗務員9人)の計209人が搭乗。体調不良やけがを訴える人はいなかったという。着陸時に、機体尾部の胴体下部が滑走路に接触したことを確認。尾部胴体下部には接触痕があり、現在は修復作業に向けた調整を進めているという。事故原因は調査が続いている。【Aviation wire news】
3.JAL、5000万ドル規模のCVC設立 量子や最先端技術に投資
日本航空は、自社運営のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド「JAL Innovation Fund II」を3月中に設立する。運営を担う100%出資の米投資子会社「Japan Airlines Ventures, Inc.(JALV)」を2月25日に設立済みで、活動拠点は米カリフォルニア州シリコンバレーに置く。自社運営のCVCファンドはアジアの航空会社で初、航空領域を超えたフロンティア領域への投資は世界の航空会社で初の取り組みになるという。今回設立するファンドは、2019年から外部パートナーとの共同運営で進めてきた1号ファンドに続く2号ファンドで、5000万米ドル規模。1号ファンドのノウハウを基盤に、今回は投資判断から事業連携まで、一貫して自社で担う体制へ移行する。投資領域は3つに分けた。量子、ロボティクス、ヒューマノイドなど、航空産業の外側から産業構造を変える可能性を持つ最先端技術やビジネスモデルを対象とする「Frontier」、次世代の移動・輸送インフラや宇宙領域などを対象とする「Next Mobility」、航空やマイルなどでJALの運航、顧客基盤、データ資産を生かし、即効性の高い相乗効果を見込む「Aviation Core」で構成する。JALVの登記地は米デラウェア州で、CEO(最高経営責任者)には久根崎将人氏が就く。事業内容は、CVCファンドを通じたスタートアップ企業への投資と事業連携の推進などとしている。JALは、従来の5カ年の中期経営計画に代え、10年後を見据えた新経営計画「経営ビジョン2035」を3月2日に発表。単年度計画と組み合わせて機動的に運営し、JAL本体を中核とするFSC(フルサービス航空会社)事業に加え、LCC(低コスト航空会社)やマイル・金融・コマース、その他の非航空・周辺事業も成長の柱に位置づける。2030年度にEBIT(財務・法人所得税前利益)を3000億円、2035年度には3500億円以上を掲げ、EBITの構成比率は2035年にFSCが50%、LCCとマイル・金融・コマース、その他の3事業を合わせて残り50%とし、非航空事業を強化していく。【Aviation wire news】
4.スカイマーク、27年度新卒採用開始 CAなど6職種
スカイマークは3月9日、2027年度の新卒採用を始めたと発表した。自社養成パイロット、客室乗務職、地上旅客職、ランプハンドリング職、エアラインエンジニアリング職、コーポレート・オペレーション職の6職種で、計210人以上募集する。採用予定数は、客室乗務職が約140人、ランプハンドリング職が約40人、エアラインエンジニアリング職が約30人。コーポレート・オペレーション職、地上旅客職、自社養成パイロットはそれぞれ若干名を採用する。学部・学科の指定はいずれも設けていない。エントリーは自社養成パイロットを除き、9日午後1時から受け付けている。自社養成パイロットはエントリー開始が4月3日午後1時で、2025年4月から2027年3月までに大学か大学院を卒業・修了見込みの人が対象となる。客室乗務職、地上旅客職、ランプハンドリング職の応募資格は、2026年4月から2027年3月までに専門学校、高等専門学校、短期大学、大学、大学院を卒業・修了見込みの人。エアラインエンジニアリング職は、同期間に専門、高専、大学、大学院を卒業・修了見込みの人が対象となる。コーポレート・オペレーション職は、2026年4月から2027年3月までに大学か大学院を卒業・修了見込みの人を対象にしている。【Aviation wire news】
