KIT航空宇宙ニュース2021WK10

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK10

海外のニュース

1. FAAがDroneと民間機との衝突回避のための技術テストを2021年末までに実施

Federal Aviation Administration(FAA)は、2021年末までに民間機がDroneとの衝突を回避するためのTechnologiesのTestを、米国内の5つの空港で実施すると、発表した。これらのTestは、2023年まで続く見込み。テストは、FAAの空港無人航空機システムの検出および軽減研究プログラムの一部で、選択された空港は、アトランティックシティ国際空港(ニュージャージー)、シラキュースハンコック国際空港(ニューヨーク)、リッケンバッカー国際空港(オハイオ)、ハンツビル国際空港(アラバマ)、シアトル-タコマ国際空港(ワシントン)。2021年後半から2023年にかけて、少なくとも10の異なるソリューションが評価され、最終的には全国の空港での将来の無人航空機の検出および軽減技術の基準が作成されまる。評価されたシステムの正確な性質は明らかにされていません。FAAは、2020年に170万を超えるドローン登録と203,000の認定リモートパイロットの存在を報告している。また年間を通じて、無人航空機の目撃に関する1,637の報告が当局に提出された。これらの目撃情報のほとんどは無害だったが、航空安全当局は、ドローンが航空輸送にもたらす可能性のある脅威について引き続き懸念を抱いている。【Flightglobal】

【Aerotime Hub提供】

 

2.SpaceXスターシップ10号機(SN8)は着陸に成功直後爆発

昨年12月と今年2月に打ち上げられたSN8とSN9のように、完璧な高高度の弾道飛行試験を実施し、高度約33,000フィートまで上昇した後、再突入のために向きを変え、制御された空力降下を開始した。しかし、着陸時に爆発した姉妹船とは異なり、SN10の3つのラプターエンジンは、計画どおりに地面に近づくと再点火して速度を落とし、6分19秒後に施設の着陸パッドに直立して着陸したが、機体の底から炎が噴き出し、その数分後の爆発により、機体はパッドから吹き飛ばされ破壊された。原因は不明だが、着陸後に機体がやや傾いていたことや、燃料のメタンと思われるガスが漏れているように見えたことから、やや速い速度でタッチダウンしたためどこかが損傷し、燃料が漏れ、それに引火したものとみられる。それでも、試験の本来の目的は達成されたことで、スターシップの開発は大きな進展を果たし、さらなる開発に向け大きなはずみがついた。

(YouTube動画URL:https://youtu.be/ODY6JWzS8WU)

【Flightglobal News】

【NASA提供】

3.米国HyPoint社は、新しい高出力燃料電池のサービス開始スケジュールを設定

カリフォルニアを拠点とする新興企業のHyPoint社は、その新しい高出力水素燃料電池システムが2023年までに固定翼航空機で商用サービスを開始し、今後数年間でさらにアプリケーションが続くと確信している。HyPoint社は、冷却と酸素供給の両方に圧縮空気を使用することにより、その高温燃料電池システムが最大2KW / kgの比出力を達成できると考えている。これは、従来の水素の3倍以上の出力対重量比で、さらに、従来の低温システムでの液体冷却の必要性を排除することにより、HyPoint社のテクノロジーは約3倍軽量化され、都市のエアモビリティ(UAM)車両などの小規模なアプリケーションに適している。実物大のプロトタイプは、来年には飛行利用に可能となり、2023年に最大19席の非公開の固定翼航空機のサービスエントリーにつながる可能性がある。【Flightglobal News】

【ZeroAvia提供:Hypoit社製水素燃料電池搭載電動航空機】

 

4.中国が独自開発中のC919Narrow-body機に搭載するCJ1000 Turbofan engineを2021-2025年の間に開発

C919 を含む中国製の民間航空機は、現在、外国製のエンジンを使用しているが、同国は高度な技術を持つ外国への依存度を下げようとして、国産の代替Engine の開発を目論んでいる。同型機は、2021 年末までにCAAC のType Certification を取得し、Launch customer であるChina Eastern Airlines に納入されることになっている。【Reuter】

【Twitter提供:CJ1000エンジン】

 

日本のニュース

1.JAL成田空港で国内初の自動運転トーイングトラクター導入

国土交通省航空局(JCAB)は3月2日、航空貨物や手荷物の運送用コンテナをけん引する「トーイングトラクター」(TT車)について、国内では初となる自動運転のTT車を成田空港で導入すると発表した。空港を運営する成田国際空港会社(NAA)と共同で実証実験を展開した日本航空(が導入する。実用化により、航空需要が拡大する一方で深刻化する人手不足に対応していく。導入場所は、成田空港第2ターミナル(T2)本館とサテライト周辺の車両通行道路。本館からサテライトへの荷捌き場間の受託手荷物搬送を自動で担う。使用する車両は仏TLD製トーイングトラクター「TractEasy」で、運転席に運転者が座る自動運転「レベル3」での導入となる。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire提供】

2.小惑星イトカワで見つかったひげ状金属鉄は月の砂にもあることを九大が確認

九州大学は3月4日、小惑星探査機「はやぶさ」(初号機)が小惑星イトカワで初めて発見した金属鉄のひげ状結晶を、アポロ11号および17号で回収された月の砂からも発見したことを発表。同成果は、九大 基幹教育院の松本徹JSPS特別研究員、同・野口高明教授らの研究チームによるもの。金属鉄のひげ状結晶(ひげ状金属鉄)は、「はやぶさ」が回収した小惑星イトカワから回収した砂において初めて発見され、硫化鉄の表面で見られる結晶である。ひげ状金属鉄は、太陽から吹くイオンの流れである太陽風や隕石衝突の加熱によって、硫化鉄表面の硫黄が吹き飛ばされ、余った鉄原子をもとにして成長すると考えられている。【マイナビニュース】

【Biglobe News提供:イトカワから持ち帰った砂の電子顕微鏡写真(→ひげ状金属)】