KIT航空宇宙ニュース2020WK49
海外のニュース
1.米国新興航空機企業Zunum社が資金枯渇でボーイング社を提訴
Hybrid-electric airplane の米国新興企業Zunum社は、2019年に現金を使い果たし、新たな投資家を探していたが、今回元投資パートナーのBoeingを相手に訴訟を起こした。
Zunum社によれば、ボーイング社が航空宇宙分野での優位性とサプライヤーとの影響力を利用してZunum社の開発を遅らせ、その後さらに、その開発を先送りにする戦略を実行したと主張している。同訴訟では、ボーイング社のベンチャーキャピタルHorizonXとフランスのエンジンサプライヤーSafran社を共同被告とし、損害賠償を求めている。
【Daily Herald News】
【Zunum Aero 提供:開発中だったハイブリッド電動航空機】
2.ブラジルEmbraer社のターボプロップ機開発
Embrear社は、開発を計画しているターボプロップ機(70~100人乗り)が、現在のE-Jet の機体をベースに、代替推進システムではなく従来型のエンジンを使用する可能性が高く、開発に関して「産業および財政」両方の支援が得られる複数の潜在的パートナーと交渉中であると語った。来年にはパートナーシップ契約が結ばれることを期待しているが、プログラムの開始は2021年以降になると述べた。
【Flightglobal】
【Embraer社提供】
3.ロシア製のAviadvigatel PD-14ジェットエンジンがMC21-310で近々初飛行
ロシアが開発していた民間航空機用エンジンPD-14エンジンが、現在米国P$W社製のPW1400Gエンジンを装着している、ロシア製民間航空機MC21-310に搭載され近々初飛行を予定している。当該エンジンは、Irukt社製ターボプロップ機II-114の改良機にも搭載が予定されており、ロシアの型式証明を今年中に取得予定。【Airway News】
【Russian Aviation Insider提供】
日本のニュース
1.コロナ禍で経営に苦しむANAとJALが共に公募増資
ANAホールディングスは11月27日、公募増資で最大約3321億円を調達すると発表。2000億円を発注済みのボーイング787型機の導入費用や既存機の客室改修などに充て、残りを長期債務の返済に充当。日本航空も、既に公募増資を実施すると発表しており、最大約1826億円を調達、エアバスA350型機の購入資金や、LCCビジネスに投資する。【Aviation Wire】
2.機内のマスク着用効果をJALと理研がスパコン”富岳”で検証
日本航空と理化学研究所は11月26日、スーパーコンピューター「富岳」を活用した機内での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止につながる研究結果を発表。機内の空気が3分程度できれいになることが確認され、マスク着用の有無で飛沫(ひまつ)の拡散レベルに大差があることを確認。
今回の富岳を使ったシミュレーションでは、仮想的にウイルスの飛沫で汚染された空気を機内に満たし、機内の換気システムでどのように浄化されていくかを評価。外気換気のほか、循環空気もHEPA(高効率粒子状空気)フィルターでウイルスが除去され、機内の空気は3分程度で浄化されることが確認できたという。【Aviation Wire】
【JAL資料より抜粋:左がマスクを着けない場合で、右がマスク着用の場合】
3.「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の探査を終え、間もなく帰還
初号機に続いて小惑星の砂を持ち帰ることができるか世界から注目されており、現地に入ったチームが回収の準備を進めている。「はやぶさ2」は6年前に打ち上げられ、小惑星「リュウグウ」の探査を行って2回のタッチダウンを成功させ、「リュウグウ」の砂が入ったとみられるカプセルを来月6日に地球に帰還させる計画です。「はやぶさ2」は、今月26日にカプセルを地球の大気圏に落下させるルートに軌道を変更し、30日午前5時の時点で地球から約230万キロ離れた場所にあり、スピードは秒速4キロ余りで地球に近づいています。【NHKニュース】
【毎日新聞提供】