KIT航空宇宙ニュース2021WK29
海外のニュース
1.PWC社がDash 8-100型機にハイブリッド電気推進システムを搭載する計画
Pratt & Whitney Canada (PWC)社は、カナダ政府の支援を受けて、デハビラント・カナダ(DHC)社のDash 8-100 ターボプロップにハイブリッド電気推進システムを搭載するプロジェクトを進めており、2024 年に実証機の飛行を開始する予定。このプログラムには、PWC 社とコリンズ・エアロスペース社が “advanced electric motor and controller(最先端電動モーターと制御器)”を供給するほかDHC社が、「ハイブリッド電気技術を搭載するための改良型ナセル構造」を設計し、「システムを安全に監視・制御するために必要なコックピットのインターフェース」を担当。また、「飛行試験と実証プログラム」を実施し、カナダ運輸省と直接連絡を取り、対応する実験飛行許可を取得するとしている。カナダとケベック州の政府が163百万カナダドル(約140億円)の半分を支援することになっている。【Flightglobal News】
【Flightglobal提供:ハイブリッド電動DHC-Dash8-100型機想像図】
2.全電動航空機による世界最初の商業飛行をハーバーエアが来年計画
すべてが計画通りに進んだ場合、来年のこの時期までに、カナダの地域航空会社であるハーバーエアは、全電気航空機で有料の乗客を飛ばす最初の航空会社として歴史を築く可能性がある。同社は、大幅に改造された電動式のデハビランドカナダDHC-2ビーバーフロート水上機を使用して2022年夏に商業飛行を開始することを計画している。【Flightglobal News】
【Flightglobal提供:ハーバーエアのDHC-2水上機】
3.欧州委員会が気候変動対策で航空会社をターゲット
欧州委員会の気候変動対策の主要な提案の中で、航空会社がジェット燃料の減税を失う可能性がある。より多くの非石油代替物(SAF)を使用し、より大きな税金を支払うことになる。欧州連合の執行委員会は水曜日に、世界の排出量の最大3%を占めると見なされる航空機をターゲットとして、経済全体の純排出量を1990年レベルから2030年までに55%削減するというEUの目標に貢献するためにさらに排出量削減に努力する必要があると述べた。 EUのブリュッセル本部内での激しい交渉の後に出された提案は、現在EU全体の賦課金を免れている27カ国のEUブロック内のフライトの燃料に対する税金の漸進的な導入を要求している。【ロイター】
【Flightglobal提供】
日本のニュース
1.JAXA が挑む航空機設計開発の高度化。カギ握る技術は「数値シミュレーション」
現在の航空機設計開発においては、風洞実験の代替手段として数値流体シミュレーション(CFD)が欠かすことのできない存在となっている。その一つが、ヘリコプターに代表される回転翼機のように、機体全体では前方移動、ブレード部分は前方移動に加えて回転運動をしている、という「異なる運動が混在する状態」の解析です。CFDでは、機体を取り囲む空間を数千以上もの領域に分割し、一つひとつの領域(計算セル)の中で流体方程式を解きますが、回転翼解析では、機体やその周囲用の格子(背景格子)と、回転部分用の格子(移動格子)とを重ねて、両者で情報をやりとりしながら計算する「移動重合格子法」が多用されます。異なる動きを分けて計算できる便利な方法ですが、移動格子が背景格子のどの計算セル上にあるかを常に探索する必要があり、複雑な形状の解析をしようと思うと、とたんに計算負荷がとても高くなります。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、非常に複雑な形状に対しても超高速で、航空機の空力的な性能を予測できるCFD解析ソフト「FaSTAR」を独自に開発した。現在、これを発展させ、回転翼やエンジン内ファン、構造変形による翼の構造振動を解析可能な「FaSTAR-Move」を開発中であり、教育機関や、企業などでも活用され始めている。最近では、計算コストを大幅に低減できる手法を提案・実装し、米航空宇宙局(NASA)が開発している世界トップレベルの解析ソフトと比べて最大で3倍程度の高速性を実現している。【ニュースイッチ】
【日刊工業新聞社提供】
2.羽田空港の国際線エリアにビジネスジェット新施設開業
羽田空港の第3ターミナル(旧称国際線ターミナル)を運営する東京国際空港ターミナル(TIAT)は、新しいビジネスジェット専用搭乗施設「東京国際空港国際線ビジネスジェット専用ゲート(Tokyo International Airport Business Aviation Gate)」を7月15日に供用開始した。場所は第3ターミナル北サテライトの西側で、専用保安検査場や待合室、車寄せなどを併設し、24時間運用する。施設の延床面積は約1500平方メートルで、出発と到着を分離した動線を採用し、保安検査場やCIQ(税関・入管・検疫)、待合室、車寄せ、一時駐車スペースなどは専用のものを設けた。利用料は到着または出発1回につき30万円(税別)
【Aviation Wire News】
【Aviation Wire提供】
3.ANAが遠隔操作ロボットで”瞬間移動” 秋にベータ版開始
ANAホールディングス(ANAHD)が出資するavatarin(アバターイン、東京・中央区)は7月15日、世界初の瞬間移動サービス「avatarin(アバターイン)」のベータ版を今秋から提供を始めると発表。同時にアバター(分身)と呼ばれる遠隔操作ロボット「newme(ニューミー)」を初めて全面リニューアルし国産化。法人向け利用プランの予約を始めた。瞬間移動サービスのavatarinは、遠隔地の行きたい場所に設置されたnewmeを選び、自宅などからインターネット経由で接続し、自分がその場にいるかのように移動したり、現地の人と会話などができる。すでに水族館見学や自動車工場の社会科見学、デパートでの買い物、病院での実証実験などを実施している。ベータ版に先行する形で、8月1日から31日までの夏休み限定企画として、美術館など4つの施設で30分間のアバター旅行ができる。鳥取県倉吉市の「円形劇場くらよしフィギュアミュージアム」、埼玉県深谷市の「渋沢栄一 青天を衝け 深谷大河ドラマ館」、神奈川県箱根町の「箱根ガラスの森美術館」、香川県高松市の新屋島水族館が対象で、現地に設置されたnewmeを自宅などのパソコンから操作し、“瞬間移動”を体験できる。【Aviation Wire News】
【Yahooニュース提供:遠隔分身ロボット (newme)】