KIT航空宇宙ニュース2022WK48

KIT航空宇宙ニュース

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海外のニュース

1.中国、「神舟十五号」宇宙船の打ち上げに成功 – 宇宙ステーション6人体制へ

中国有人宇宙飛行工程弁公室は2022年11月30日、3人の中国宇宙飛行士を乗せた有人宇宙船「神舟十五号」の打ち上げに成功した。宇宙船はその後、「中国宇宙ステーション(CSS)」とのドッキングにも成功した。3人の宇宙飛行士は約半年間、CSSに長期滞在する。CSSは一時的に6人体制となり、中国による本格的な宇宙ステーション運用が始まる。神舟十五号を搭載した「長征二号F」ロケットは、日本時間11月30日0時8分(北京時間29日23時8分)、甘粛省北西部にある酒泉衛星発射センターから離昇した。ロケットは順調に飛行し、離昇から約10分後、神舟十五号を分離して所定の軌道に投入した。神舟十五号はその後、軌道変更を行いつつCSSに接近。そして打ち上げから約7時間後の30日6時42分、CSSとのドッキングに成功した。神舟十五号には、司令官の費俊龍宇宙飛行士のほか、鄧清明宇宙飛行士、張陸宇宙飛行士の、計3人の中国宇宙飛行士(タイコノーツ)が搭乗。2023年5月までの約半年間、CSSに長期滞在する。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:打上げに成功した中国「神舟15号」宇宙船】

2.エアバスがA380 飛行試験機を使用して燃料電池パワートレインの飛行を計画

エアバス社は2026年に、A380 MSN1飛行試験機に搭載された自社開発の新しい燃料電池ベースのパワートレインの飛行試験を開始し、スーパージャンボ向けの水素推進試験を拡大する。本日トゥールーズで開催されたサミット2022イベントでこのイニシアチブを開示したエアバス社は、すでに最初のデモンストレーター・システムを構築していると述べた。燃料電池パワートレインの基礎となるシステムの実験室でのテストは、2023年末まで継続されると、エアバスの ZEROeデモンストレーター・テストの責任者である Mathias Andriamisaina が述べている。エアバスは、 ZEROeプログラムの下で検討されている100席、1,000nm (1,850km) の範囲の航空機に電力を供給する 2MW システムの必要性を認識している。ただし、約1MWのサイズのパワートレインのスケーリングされたバージョンが飛行試験に使用されます。2月にエアバスは、エンジンメーカーのCFMインターナショナルと提携して水素燃焼ターボファンのテストに同じA380を使用し、エンジンパイロンを組み込むために上部左舷側胴体を変更することを明らかにした。 エアバスは、「スタブ」パイロンの追加とその取り組みによる関連する構造補強、および水素燃料システムを利用して、燃料電池パワートレインもテストする予定である。水素燃焼試験では、それぞれ125 kgの液体水素を保持できるサイズの4つの燃料タンクを使用するが、燃料電池システムには1つのタンクしか使用しない。飛行試験は2026年から2028年にかけて実施され、燃料電池システムの技術準備レベル(TRL)は6または7になると、エアバスのゼロエミッション航空機担当副社長である Glenn Llewellyn 氏は述べている。【Flightglobal News】

【エアバス社提供:実験室での燃料電池パワートレインの基礎となるシステムの実験装置】

3.MTUが電動ハイブリッド及び水噴射ターボファン技術を使ったSWITCH プロジェクトを発表

電動ハイブリッドを含む持続可能な水噴射ターボファン(SWITCH)プロジェクトは、水噴射ターボファン (WET) とハイブリッド電気推進という2つの革新的で相乗的な技術から構築された新しい推進コンセプトの開発に焦点を当てている。これらの技術をPratt & WhitneyのGTFエンジン技術と組み合わせることにより、SWITCHコンセプトは効率を大幅に向上させ、航空機の全飛行範囲にわたって地球温暖化ガス排出量を大幅に削減することを目指している。SWITCHの一部として開発された技術は、持続可能な航空燃料(SAF)などのよりクリーンな代替燃料と完全に互換性があり、将来、水素燃料の使用について評価する。電動ハイブリッドGTFパワートレインは、高効率のメガワットクラスの電気モーター・ジェネレーター、パワー・エレクトロニクス、およびバッテリーを活用して、燃料燃焼ガスタービンの性能を最適化することにより、飛行の全ての段階でさらに高い効率を実現する。WETコンセプトは、エンジン排気から水蒸気を回収し、それを燃焼室に再噴射して、燃料効率を大幅に改善し、NOx排出を削減し、飛行機雲(Contrail)を形成する水蒸気排出を低減する。これらの革新的なテクノロジーは連携して作動し、世界クラスの信頼性と操作性を維持しながら、オペレーティング・システム全体で温暖化ガス排出量とエネルギー使用量を大幅に削減するように設計されている。【Flightglobal News】

【MTU Aero Engine社提供:電動ハイブリッド水噴射GTFエンジン「SWITCH」】

4.ロールス・ロイス社が水素燃料を使用したジェットエンジンの世界初の運転に成功

航空エンジンメーカーのロールス・ロイス社と英国格安航空会社のeasyJetが、水素を利用した最新の航空エンジンを世界で初めて稼働させ、航空業界に新たなマイルストーンを設定した。使用したエンジンはロールス・ロイスAE 2100-Aエンジンを改造したもので、再生可能エネルギーを利用して水から抽出した水素を使用して始動および運転を行った。飛行機がグリーン燃料を使用して離陸する前に解決すべき問題がいくつかあるが、この試験は世界初であり、「航空の新しいマイルストーン」と見なされている。両社は、水素が安全かつ効率的に民間航空エンジンに電力を供給できることを証明することに着手しており、飛行試験を実施するという長期的な目的を持ち、既に2回目の試験を計画している。【Flightglobal News】

【ロールス・ロイス社提供:水素燃料を使用した運転に成功したAE2100-A型エンジン】

日本のニュース

1.ANA、創立70周年迎える 当時のヘリは現存

ANAホールディングス傘下の全日本空輸は12月1日、創立70周年を迎えた。10年前の60周年の際は羽田空港で歴代制服のファッションショーや特別塗装機のデザイン発表などのイベントが開かれたが、人間の古希にあたる今回はセールなどを除くと大きなイベントもなく、例年通りの師走を迎えた。ANAの前身となる日本ヘリコプター輸送(日ペリ)は、終戦から7年が過ぎた1952(昭和27)年12月27日創立。1957年12月1日に社名を全日本空輸に変更した。その後、2013年4月1日に持株会社制へ移行し、持株会社のANAホールディングスに社名を変更するとともに、事業会社としての全日本空輸が新たにスタートした。日ペリは創業当時、ベル・エアクラフト(当時)から2機のヘリコプター「47D-1」(JA7007、7008)を購入。企業の宣伝飛行や遊覧飛行、NHKの空撮などを行った。ANA便にはIATA(国際航空運送協会)の2レターコードで「NH」が付くが、日本ヘリコプター輸送が由来だ。2年前の2020年6月30日には、創業時のヘリコプター「ベル 47D-1」の2号機(登録記号JA7008)を当時東京・下丸子にあった教育・研修施設「ANAトレーニング&エデュケーションセンター(ANATEC)」から、2019年4月に運用を開始した羽田空港近くの総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB、ANAブルーベース)」へ移設。安全や創業時の象徴として展示を続けている。ANATECは2020年8月31日に閉鎖され、跡地は売却された。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:ANA訓練施設に展示されている日ぺリのヘリコプター2号機】

2.天気・風速をアプリ通知、ドローン「レベル4」サポート ウェザーニューズ、法人向けトライアル

ウェザーニューズは、法人に提供しているスマーフォン向け天気予報アプリ「ウェザーニュース for Business」でドローンのパイロットを対象とした専用サービスの無償トライアルを開始する。ドローンの離発着や自動充電に対応する基地「ドローンポート」の天気や上空の風速などを確認でき、12月5日の法改正により解禁となる有人地帯でのドローンの目視外飛行「レベル4」をアプリでサポートする。ドローンポートの天気のほか、上空の風向・風速・気温などを確認できる。上空150メートルまでを7層に分け、風と気温を境目となる数値に応じて色分けして表示する。風速をもとに「飛行可能」「注意」「飛行不可」の3段階で判定し、ドローンの起動可否やバッテリー残量に影響する気温を「注意」「警戒」の2段階で表示する。10日先までの地上付近の天気や降水量、気温、風向・風速も通知するほか、ドローンポートの風速が設定した値を超える場合にはプッシュ通知で喚起する。今回のサービスはドローンのパイロットを対象にした無償トライアルで、申し込みから2カ月間利用できる。締め切りは2023年1月31日。12月5日に改正航空法が施行され、「有人地帯における補助者なし目視外飛行」(レベル4)の解禁を予定している。ドローンによる物流や点検、警備、災害対応などへの活用が期待されている一方、上空は強風となることからドローンの落下事故につながるなど、飛行には気象に関する運航リスクが伴うことから、パイロットや運航管理者は詳細な気象情報の把握が必要となる。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:ウェザーニュースがスマホで提供するドローン向け気象情報】

3.スターフライヤーCA採用23年2月下旬入社

スターフライヤーは11月30日、客室乗務員の新規採用を始めると発表した。入社日は2023年2月下旬から3月上旬で、雇用形態は正社員となる。採用予定人数は20人程度。北九州空港か羽田空港が出退社場所となる。専門学校、高専、短大、4年制大学、大学院を卒業・修了した人が応募でき、2023年3月までに卒業・修了見込みの人は、指定時期に入社可能な場合に応募できる。応募の締切など詳細は、同社採用サイトで12月1日から案内する。【Aviation Wire News】

4.ispaceの「HAKUTO-R」ミッション1ランダーの打ち上げ日は早くても12月7日以降に

ipsaceは12月2日、ロケット側の問題で打ち上げを延期した民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1ランダー(月着陸船)の新たな打ち上げ日の大まかなスケジュール感についての発表を行った。現在、SpaceXと新たな打ち上げ日確定に向けた協議を継続しているというが、12月3日から6日までは、計画気道での航行が難しいブラックアウト期間になるため、実際の打ち上げはそれ以降に、ロケットの準備状況に基づいて確定されるとしている。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:「HAKUTO-R」を搭載した打上げ前のスペースXロケット】