KIT航空宇宙ニュース2025WK06
海外のニュース
1. カナダのノリノール社は、将来の砂利滑走路運用のために、主翼胴一体型ナチラス航空機を検討
カナダのチャーター航空会社ノリノール・アビエーションは、南カリフォルニアの新興企業ナチラスが開発中の貨物機の生産拠点を確保することで将来を見据えている。ミラベルを拠点とするノリノールは2月4日、ナチラス社と「コナ」と呼ばれる複数のブレンデッド・ウィング・ボディ(BWB)貨物機の購入オプション契約を結んだと発表した。 ナチラス社が開発中のコナ・プラットフォームは「砂利道や未舗装の滑走路で運用できるように独自に設計されている」とノリノール氏は言う。両社は金銭的条件を具体的に述べておらず、ナチラス社が複数の開発および認証のハードルをクリアしてコナを市場に投入した場合に納入される航空機の台数も明らかにしていない。【Flightglobal news】

【ノリノール提供:ノリノール・アビエーションが開発中のBWB設計の貨物機】
2.Vertical Aerospaceが垂直推進飛行試験を終了
Vertical Aerospaceは2025年2月4日、垂直離陸とホバリング、狭い特定エリアでの低速操縦を含むVX4 eVTOL航空機の有人飛行試験プログラムのフェーズ2を無事完了したと発表した。Vertical は 1 月初旬にフェーズ 2 のテストを開始し、このフェーズ中に 30 回以上の有人飛行を実施した。Vertical の次のテストは、有人翼上飛行テストです。これは、航空機の翼を使って揚力を発生させ、従来の飛行機のように航空機を飛行させて、離陸、巡航、水平着陸させるテストです。次の、そして最後から2番目の段階に進むには、英国民間航空局 (CAA) からの Vertical の飛行許可の認証の拡張が必要になる。翼上飛行が無事完了すると、Vertical は機体の認証において画期的な一歩を踏み出したことになる。飛行試験の最終段階は遷移飛行で、VX4 は垂直に離陸し、垂直飛行から前進飛行に移行する。【Aero News Network】

【Vertical Aerospace提供:垂直推進試験中のVertical Aerospace社のeVTOL機VX4】
3.ZeroAvia が 600kW 電気推進システムで FAA G-1 を取得
ZeroAviaは、600kW電気推進システム(EPS)に関する認証基準について連邦航空局(FAA)と合意に達し、G-1 Issue Paper(ステージ2)を受け取り、その内容に正式に同意したことを発表した。G-1 Issue Paper(ステージ2)は、同社の EPS が米国規制当局から最終認証を受けるまでの道のり、また同社初の完全水素電気パワートレイン(EPSがコア システム)が英国民間航空局から認証を受けるまでの道のりにおいて重要なマイルストーンとなる。この発行文書では、ZeroAvia の EPS に固有の適用可能な耐空性規制が指定されており、これにより同社は設計要件を検証できる。ZeroAviaの600kW EPSは、同社独自のインバーターと電動モーター技術を組み合わせ、優れた耐障害性と比出力を備えた高効率の電動エンジンを実現する。600kW EPSシステムは、DC 電力をACに変換してZeroAviaの2,200 rpm対応のダイレクト ドライブ モーターに電力を供給する4つのZeroAvia 200kW連続電力双方向インバーターで構成されている。600kW EPSの潜在的な用途には、バッテリー、ハイブリッド、燃料電池の電動固定翼航空機、回転翼航空機、無人航空機などがある。600kWシステムは、最大20席の商用航空機向けに設計され、ZeroAviaのより幅広いZA600水素電気パワートレインの一部として設計された。パワーエレクトロニクスと電気モーターの航空宇宙への応用性と性能を向上させることで、同社は、他のクリーン航空イノベーターに電気推進システムを個別に供給するための協議を進めている。昨年、ZeroAviaは、これらの電気推進システムを生産するために、ワシントン州エバレットに 136,000平方フィートの推進センター・オブ・エクセレンス工場を開設した。【ZeroAviaニュース】

【ZeroAvia提供:ZeroAviaの完全水素発電600Kw EPS】
日本のニュース
1.ブルーインパルス、大阪万博で展示飛行 4/13正午に夢洲
航空自衛隊は2月7日、大阪・関西万博でアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が展示飛行を披露すると発表した。飛行ルートなどの詳細は後日明らかにするという。展示飛行は4月13日日曜の正午ごろを予定。大阪府の夢洲(ゆめしま)会場上空で演目を披露する。大阪万博は、4月13日から10月13日までの184日間、大阪市此花区の夢洲で開かれる。【Aviation wire news】

【Aviation wire提供:ブルーインパルス展示飛行】
2.米NTSB、シアトルのJAL機接触を航空事故認定
日本航空は2月6日、シアトル・タコマ国際空港で現地時間5日(日本時間6日)に起きた成田発シアトル行きJL68便(ボーイング787-9型機)の右主翼が、駐機中のデルタ航空機の垂直尾翼と接触した事故が、NTSB(米国家運輸安全委員会)から航空事故に認定されたと発表した。接触事故は5日午前10時10分(日本時間6日午前3時10分)ごろに発生。シアトルへ着陸後、誘導路を走行していたJALの787-9の右主翼が、防氷剤を散布する準備のため駐機してあったデルタ航空のボーイング737-800型機の垂直尾翼に接触した。JL68便の乗客172人(幼児ゼロ)と乗員13人(パイロット3人、客室乗務員10人)の計185人にけがはなかった。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:JAL機の左主翼がデルタ航空の尾翼に刺さっている】
3.スペースジェット飛行試験10号機を26年度展示 愛知県、航空ミュージアム10周年で
愛知県は、県営名古屋空港(愛知県小牧市)に隣接する県の「あいち航空ミュージアム」に、三菱重工業が開発を中止した「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の飛行試験機の10号機を展示する。開館10年目を迎える2026年度の公開を目指し、準備を進める。三菱重工は、MSJの開発中止を2年前の2023年2月7日に正式発表。製造された飛行試験機のうち、米国で試験を行っていた4機は初号機を含む全機が現地で解体済み。10号機は設計変更を反映した機体で、2020年1月6日に完成し、機体を製造する三菱重工から子会社で開発を担当していた三菱航空機(当時)へ引き渡された。初飛行は2020年3月18日に、県営名古屋空港で実施。午後2時53分に離陸し、太平洋側の飛行試験空域で飛行状態での基本性能などを確認後、約2時間の飛行試験を終えて午後4時40分に同空港へ戻った。国が機体の安全性を証明する「型式証明(TC)」取得のために製造された試験機で、開発中止までの飛行時間は計48時間、飛行試験では主に機内空調関係(風向風速温度)、Passenger Door(乗降用ドア)周辺の性能確認などが行われた。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:名古屋小牧空港を試験飛行の為離陸するMSJ10号機】
4.CO2濃度の年増加量、過去14年間で最大に。「いぶき」観測で判明
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立環境研究所、環境省は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測情報として、地球上における二酸化炭素濃度の2023〜2024年の年増加量が3.5ppm/年だったと2月6日に発表。2011年以降の14年間で最大の増加量となった。【マイナビニュース】
【JAXA提供:温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)】
5.変形型月面ロボット「SORA-Q」、日本オープンイノベーション大賞内閣総理大臣賞を受賞
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月6日、タカラトミー、ソニーグループ、同志社大学の3者と共同で開発した変形型月面ロボット「LEV-2(Lunar Excursion Vehicle 2、愛称:SORA-Q)」が、内閣府の主催する第7回日本オープンイノベーション大賞のうち、最も優れたものとして表彰される内閣総理大臣賞を受賞したこと、ならびに2月5日に表彰式が執り行われたことを発表した。今回の受賞は、タカラトミーの玩具技術、同志社大学の小型ロボット開発技術、および、ソニーのIoTデバイス・イメージセンサ・画像処理技術をJAXAが有する宇宙関連技術と融合させ、超小型・軽量にも関わらず、月面を安定的に走行して自律制御で動作できるロボット(SORA-Q)を開発したことが評価されたもの。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:月面探査変形ロボット「SORA-Q」】
6.H3ロケット5号機発射、準天頂衛星システム「みちびき」6号機打上げに成功
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月2日、H3ロケット5号機を種子島宇宙センター 大型ロケット発射場から発射した。17時30分に離昇した5号機は順調に飛行を続け、準天頂衛星システム「みちびき」6号機を離昇から29分後に分離、所定の軌道に投入した。【マイナビニュース】

【JAXA提供:H3ロケット5号機の打上げの様子】