KIT航空宇宙ニュース2026WK08
海外のニュース
1. エアバス、大学生・院生のビジネスコンテスト「Fly Your Ideas」開催
エアバスは、世界各国の大学生・大学院生を対象としたビジネスコンテスト「Fly Your Ideas 2026」を開催する。学生が航空宇宙業界のエキスパートとともに開拓精神を発揮し、最先端のデジタルテクノロジーに取り組む機会を提供する。大学生と大学院生(学士・修士・博士課程)が対象で、1組3-5人のチームで応募する。使用言語はすべて英語で、アイデア提出の応募締切は3月17日の日本時間午後8時(中央欧州時間同日正午)。アイデアを提出する「ラウンド 1」は、オンラインでの簡易アンケート回答形式での応募となる。選出されたチームが進む「ラウンド 2」は、アイデアのビジュアライズやプロトタイプ開発に取り組み、エアバスのメンターやエキスパートがサポートする。「ファイナル」に選出された場合は、マンツーマンのトレーニングを受け、審査員に自身のアイデアをオンライン生配信でプレゼンする。ファイナリスト全員への特典として、インターンシップを用意。優勝チームは7月に開催される英ファンボロー航空ショーへ招待する。また、応募締切前にはオンラインでの説明会も開催。コンテストの詳細解説やエアバスのエキスパートによるトーク、ライブQ&Aなどを予定する。日時は2月19日日本時間午後11時から。事前登録が必要で、応募フォームで受け付ける。【Aviation wire news】

【エアバス提供:パリ航空ショーに招待されたFly Your Ideas 2025優勝チーム】
2.中国、新型宇宙船の脱出試験/長征十号ロケット回収試験を同時実施 有人月探査へ布石
中国は2月11日(北京時間)、新型宇宙船「夢舟」の緊急脱出システムの試験に成功した。同時に試験用「長征十号」ロケットの再使用を見据えた、回収船による捕獲試験を行い、所定の海域に着水した。夢舟と長征十号は、中国が2030年の有人月探査を見据えて開発する宇宙船とロケットだ。今回の試験で、有人月探査の実現にまた一歩近づいた。夢舟は中国が開発中の新型有人宇宙船だ。全長約9m、直径約4.5m、質量約22tで、従来の「神舟」宇宙船より大型化している。構成は、宇宙飛行士が搭乗するクルー・モジュールと、推進や電力供給などを担うサービス・モジュールの2つからなり、最大6人が搭乗できる。クルー・モジュールは複数回の再使用が可能な設計になっている。夢舟は、主に宇宙ステーションへの往還に用いることが想定されている。これとは別に「夢舟Y」と呼ばれる月探査向けのバージョンがあり、中国が2030年までに計画している有人月探査での運用が想定されている。夢舟は、2016年に縮小モデルの飛行試験を皮切りに、2020年にはフルスケールのクルー・モジュールによる再突入試験、2025年には発射台上での緊急脱出試験を行い、開発が進められてきた。今回の試験は、ロケットが上昇中に空力荷重が最大となる「マックスQ」において、夢舟が確実に緊急脱出できるかを確認する目的で行われた。有人宇宙船にとって脱出システムは最後の命綱であり、ロケットの打ち上げ前から飛行中、分離に至るまで、飛行のあらゆる段階で正常に作動することが求められる。マックスQはその中でも空力環境が最も厳しい条件にあたるため、ここで実証することは、飛行のあらゆる段階における脱出能力の信頼性を裏付けるうえで重要となる。【マイナビニュース】

【CASC提供:緊急脱出システムを起動し、ロケットから離脱した夢舟のクルー・モジュール】
3.米国上院議員、エアタクシーの認証を支援する法案を提出
米国の超党派の上院議員グループは、電動エアタクシーやその他の「先進的航空モビリティ」航空機の開発者が連邦航空局の認証を取得するプロセスを支援することを目的とした法案を提出した。法案の支持者らは、この法案はFAAにこれらの種類の航空機の認証手続きをより効率的にするよう促すものでもあると述べている。この措置は2月12日に導入されたが、これは、多くのAAM開発者が困難で費用のかかる認証プロセスを乗り越え、リソースが限られているFAAがまったく新しいクラスの航空機の評価と認証に取り組んでいる中で行われたものである。この法案が成立すれば、「AAM航空機のFAA型式証明手続きにおける透明性、予測可能性、説明責任を強化し、企業の成功を支援し、航空分野における世界のリーダーとしての米国の役割を確固たるものにするだろう」と、法案支持者の一人であるバーモント州選出のピーター・ウェルチ上院議員は述べている。民主党と共和党の議員合わせて12名もこの法案を支持している。バーモント州に拠点を置く電気航空機開発会社ベータ・テクノロジーズも同様の考えだ。「この超党派の法案は、FAAのゴールドスタンダードの安全監視を維持しながら、認証に一貫性と透明性をもたらします。イノベーションを行動に移すものです」と、ベータ・テクノロジーズの最高経営責任者(CEO)であるカイル・クラーク氏は述べている。【Flightglobal news】

【ベータテクノロジーズが開発中の電動CTOL機「アリア」】
日本のニュース
1.1月訪日客、4年ぶり前年割れ 中国大幅減、韓国は初の110万人超え
日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数推計値によると、2026年1月の訪日客数は前年同月比4.9%減の359万7500人で、2022年1月以来48カ月(4年)ぶりに前年同月を下回った。関係が悪化している中国からの大幅減が響いた。一方、韓国は全市場で初めて単月110万人を超えた。出国した日本人は17.6%増の107万2600人で、9カ月連続で100万人を上回る一方、コロナ前の7割強の回復にとどまった。JNTOが重点市場としているのは23カ国・地域で、このうち韓国、台湾、豪州の3市場で単月の過去最高を記録。残り20市場のうち、前年割れとなった中国と香港、マレーシアの3市場を除く17市場で1月の過去最高となった。前年は1月下旬だった中華圏の旧正月休暇・春節が、今年は2月中旬となったことから一部市場で影響があった。中国からの訪日客は60.7%減で、2カ月連続で前年同月を下回った。一方で、スキーなどのウィンタースポーツ需要により東アジアや東南アジア、豪州、米国などを中心に増加した。【Aviation wire news】
2.ANA、いすゞ「エルフEV」導入 羽田・新千歳でGSE脱炭素検証
全日本空輸といすゞ自動車は2月18日、電気自動車(EV)トラックを活用したGSE(航空機地上支援機材)の検証を進めるパートナーシップを締結したと発表した。いすゞのバッテリー式電気自動車(BEV)トラック「エルフEV」をベースにしたカーゴトラック(手荷物運搬車)を新たに導入し、空港での実運用を通じて脱炭素に向けた効果や課題を検証する。ANAは18日から、エルフEVのカーゴトラックを羽田空港に2台、新千歳空港に1台の計3台配備。走行時に加え、荷台のリフトを動かす動力も車両のバッテリーから供給する仕様で、従来のエンジンを搭載したトラックと同等の機能を電動化した。今回の検証では、羽田で24時間稼働が求められる環境で運用実用性を確認し、新千歳では冬季の寒冷・降雪条件下での電池性能や稼働の安定性などを重点的に見る。実際の手荷物運搬業務に投入しながら、走行距離や充電状況などの稼働データを蓄積する。両社はパートナーシップに基づき、空港でのEV車両の実証運用とサポート、稼働データの解析によるバッテリーや車両仕様の課題抽出と改善提案、CO2(二酸化炭素)排出量実質ゼロに向けた複数のソリューション検証などに取り組む。商しゆ用車の電動化で知見を持ついすゞの技術力と、ANAグループの空港運用ノウハウを組み合わせることで、GSEの電動化を進める。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:空港でのEVトラック活用検証で使用される「エルフEV」】
3.JAL、旭川の空港車両にバイオディーゼル燃料 凍結防止TT車で通年利用可に
日本航空は2月18日、旭川空港で運用しているトーイングトラクター(TT車、貨物牽引車)の一部に、バイオディーゼル燃料(BDF)の使用を同日付で始めると発表した。濃度100%のBDF「B100燃料」を使用し、CO2(二酸化炭素)の排出量削減を狙う。TT車に凍結防止のヒーターを実装し、寒さに弱いBDFの通年利用ができるようになった。道内でのBDF導入は新千歳空港に続き2例目で、道内の地方空港では初導入となる。旭川空港で導入するB100燃料は、道内コンビニエンスストア「セイコーマート」の店内調理「HOT CHEF」などで発生する廃食油を原料とする。製造・供給・配送は豊田通商(8015)と、セイコーマートを展開するセコマ(札幌市)グループでBDFを製造・販売する白老油脂(北海道白老郡)が担う。B100燃料を燃焼したときのCO2排出量は、従来燃料の軽油と比較して1リットルあたり2.62キロの削減効果があるとされている。原料となる植物が成長する過程でCO2を吸収することから、排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」とみなされるという。JALによると、BDFは軽油と比べ一般的には寒さに弱く、氷点下5度以下の環境では凍結するリスクが伴うという。便数規模が大きい新千歳空港と比べると、地方空港は作業時間が短く作業車両を温め続けるのが困難なことから、寒冷地の冬季使用で燃料の凍結によるフィルターの目詰まりが導入への課題となっていた。今回、TT車に加温用ヒーターを新たに実装することで、燃料凍結のリスクを回避。寒冷地でもBDFの通年運用が可能となった。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:旭川空港で使用されるBDFの精製】
4.スターフライヤー、格納庫で就航20周年イベント ステージやキッチンカーで謝意
スターフライヤーは2月17日、就航20周年を記念したイベントを開催すると発表した。拠点とする北九州空港にある同社格納庫を記念日前日の3月15日に開放。ステージやワークショップのほか、キッチンカーも用意し、利用客や地域の人々に20周年の感謝を伝える。午前11時から午後4時まで。「STARFLYER 20th ANNIVERSARY THANKS PARTY」と銘打ったイベントで、ステージイベントは大抽選会や響ホール室内合奏団の弦楽四重奏、同社スタッフによるクイズ大会を開催する。ワークショップは5種類用意し、本革クラフトのほか小倉織ハギレを使ったワークショップ、イスづくり大工体験、ミニプラネタリウム制作、飛行機クラフト制作を体験できる。マルシェは8店舗出店し、靴や洋菓子、ペットグッズ、ハンドメイド雑貨のほか、スターフライヤーのグッズも販売する。5店舗出店するキッチンカーはチキンカレーやクラフトビール、ソフトクリーム、タコス、ハンバーガーを取り扱う。ステージイベントのスケジュールや各ワークショップの受付方法など、詳細は特設ページで通知する。スターフライヤーは、20年前の2006年3月16日に就航。北九州発羽田行き72便が初の商業フライトとなった。現在は羽田−北九州・福岡・関西・山口宇部、中部−福岡、福岡−仙台の国内6路線を運航する。運休が続いている国際線は、今年秋ごろをめどに北九州−台北(桃園)線の再開を計画する。【Aviation wire news】
5.JAL・ANA女性役員、ICAO初代アンバサダー就任
日本航空とANAホールディングスは2月20日、国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)が新設した「ICAOグローバル・アンバサダー・プログラム」の初代アンバサダーに、JALの宮坂久美子常務執行役員とANAHDの保谷智子執行役員が任命されたと発表した。国土交通省航空局(JCAB)の推薦を受けたもので、日本代表として若年層や女性に航空業界で働く魅力を伝える役割を担う。ICAOグローバル・アンバサダー・プログラムは、ICAOの「戦略計画 2026-2050」に合わせて創設。航空業界を牽引するリーダーやロールモデルの知見を通じ、次世代人材の育成や確保を目指す。特に若年層や女性に対し、航空業界での多様なキャリアのあり方を示し、進路選択を後押しする。宮坂氏と保谷氏は今後、教育機関での講演や国際会議などの場を通じ、普及啓発活動に取り組む。自身の経験を踏まえて航空業界の魅力や役割を発信し、将来の航空産業を支える人材の裾野拡大につなげていく【Aviation wire news】

【JAL/ANA提供:ICAOの初代アンバサダーに就任したJALの宮坂久美子常務執行役員(左)とANAホールディングスの保谷智子執行役員】
6.楽天モバイルら「衛星通信AI」開発へ JAXA宇宙戦略基金に採択
楽天モバイルは、AIを活用した衛星通信・地上ネットワークの統合運用の実現に向けた“ダイナミック周波数共用の技術開発”を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業に提案し、採択されたと発表。研究開発の実施期間は2026年3月~2031年3月末(予定)で、総額最大110億円が支援される。JAXAが同事業で公募した、衛星等の技術開発テーマは「衛星通信と地上ネットワークの統合運用の実現に向けた周波数共用技術等の開発・実証」。今回の楽天モバイルの研究開発においては、東京大学大学院工学系研究科中尾研究室が連携機関として参画する。今回の研究開発は、AIを使って衛星通信を管理・制御する機能「次世代衛星通信AI」により、地上ネットワークとの円滑な切り替えを実現する周波数共用技術を開発し、ネットワークの統合運用をめざすというもの。具体的には、衛星通信と地上ネットワークの基地局設備から取得したエリアカバレッジ情報に基づき、AIが衛星通信の自動的な停波/起動を制御するアプリケーションのほか、衛星通信と地上ネットワークの干渉調整、衛星通信の周波数変更、さらにはトラフィック収容の最適化などをAIで制御するアプリケーションを実装。災害時や、ユーザーの移動によるハンドオーバー発生などといった状況に応じて、最適な通信環境を確保するネットワーク統合運用技術を開発していく。【マイナビニュース】

【楽天提供:今回の研究開発で実現をめざす、衛星通信と地上ネットワークの統合運用イメージ】