KIT航空宇宙ニュース2022WK30

ANAとセブンイレブンが今年福岡市でドローンによる貨物輸送実証試験実施
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2022WK30

海外のニュース

1. エアバス、A400Mの消火キット試験成功 山火事など低空飛行で対応

エアバスは現地時間7月26日、輸送機A400Mの取り外し可能な消火キットの試験に成功したと発表した。山火事などの火災発生時に低空飛行しながら放水して消火するもので、既存機に未改修で装着できる。今回の試験は、最低動作高度150フィート(約45.7メートル)、飛行速度125ノット(時速231.5キロ)で、最大20トンの水を10秒以内に投下する条件で、昼間に行われた。プロトタイプの開発と試験は、スペイン空軍、欧州消防当局、スペインのエコロジー移行・人口問題省(MITECO)が協力して進めている。機体の改修は不要で、水は貨物室の固定タンクに貯蔵。放水が始まると、ランプの端にある2つのセクションから水が放出される構造になっている。エアバスは今後、キットの製品版開発や夜間運用の分析などを進めるという。A400Mはターボプロップエンジン4基で飛行する輸送機。初号機は2013年8月1日にフランス空軍へ引き渡された。最大ペイロードは37トン、巡航速度は最大マッハ0.72、最大高度は3万7000フィート。2021年5月に100機目がスペイン空軍に引き渡された。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:消火キット試験を行っているエアバスA400M型輸送機】

2. ロシアが国際宇宙ステーションから2024年以降に離脱、独自ステーション建造へ

ロシア大統領府は2022年7月26日、米国や日本などと共同運用する国際宇宙ステーション(ISS)について、2024年以降に離脱する意向を明らかにした。また、並行してロシア独自の新しい宇宙ステーションを建造するという。これは同日開催された、プーチン大統領とロシア国営宇宙企業「ロスコスモス」のユーリィ・ボリーソフ総裁との会議で明らかにされた。ISSは米国、日本、カナダ、欧州、そしてロシアなど計15か国が共同で運用している宇宙ステーションで、1998年から建設が始まり、2011年に完成。ISSの中で、ロシアのモジュールはその半分近くを占めており、宇宙飛行士の生活や実験に使われているほか、ロスコスモス所属の宇宙飛行士の継続的な滞在、そして宇宙船や補給船による宇宙飛行士や補給物資の輸送も行うなど、重要な役割を担っている。現時点でISSの運用期間は2024年までとなっているが、米国は昨年末から今年はじめにかけ、2030年まで運用を延長する方針を発表。これを受け各国は検討を行っており、欧州や日本は正式決定こそされていないものの、延長に前向きな姿勢を示している。ロシアもまた、今年1月の時点では「米国のISS延長を支持しており、近いうちに本件についての内部手続きを始める」とし、前向きな姿勢を示していた。しかし、その後2月に始まったロシアのウクライナ侵攻による欧米からの経済制裁、関係悪化などを背景に、離脱を決めたものとみられる。ロシアがISS離脱を決めた背景には、欧米との関係悪化のほかに、ISSのロシア製モジュールの老朽化問題もあるものとみられる。とくに、1998年に打ち上げられた最初のモジュール「ザリャー」や、2000年打ち上げの「ズヴィズダー(ズヴェズダ)」は、すでに設計寿命の15年を超過している。実際、ザリャーは2021年、ズヴィズダーも2020年に空気漏れを起こしており、2030年まで運用できるかは不透明だった。一方、ロシアが新たに建設するとしている宇宙ステーションも、実現できるかどうかは未知数である。この宇宙ステーションは「ロシア軌道サービス・ステーション(ROSS)」と呼ばれており、計画自体は10年以上前から明らかにされていた。しかし開発は遅々として進んでおらず、2024年の時点で建設が始められるかはわからない。【マイナビニュース】

【BBCニュース提供:国際宇宙ステーション(ISS)】

3.米国FAAは、新型式航空機に2重のフライトデッキバリアを設けるよう提案

米連邦航空局(FAA)は27日、新型旅客機のフライトデッキに2つ目の防御壁を設けるよう提案していると発表した。操縦室を侵入から保護するための提案された規則では、航空機製造業者は、規則が施行された後に製造され、米国で商業旅客サービスに使用される飛行機に 2重の物理的障壁を設置する必要があるとしている。FAA は 2018 年の連邦法に基づいて 2019 年までに規則を採択することになっていたが、FAA は新しい規則を課す前に手続き上の規則に従う必要があり採択されなかった。FAAは、最終規則が採択された場合、規則が採択されてから2年後に製造された輸送カテゴリ(耐空類別T類)の飛行機に規則が適用されると述べている。2001 年 9 月 11 日に米国の 4 機の航空機がハイジャックされた(9.11事件)後、FAA はフライト デッキのセキュリティ基準を強化し、強制侵入や不正侵入に耐えられるよう防護壁の新設を求め、現在すべての商用民間航空機には防護壁が取り付けられている。【ロイターニュース】

日本のニュース

1. ANAとセブンイレブン、ドローン物流サービス検討で覚書締結

ANAホールディングスとセブン-イレブン・ジャパンは7月27日、ドローンを活用した物流サービスの検討に関する覚書を締結したと発表した。両社は2025年度のドローン輸送サービス実現に向けたビジネスモデルの構築と運用体制の検討を進める。ANAHDはドローンの運航体制の確立や機体選定、運航に関わる通信の安定性向上に向けた検討を担い、セブンイレブンは商品配送サービス「7NOW(セブンイレブンネットコンビニ)」の活用の検討、店舗敷地内のドローン専用ポートの設置、注文できる商品の選定を担う。両社は日本の離島や山間部での物流の利便性向上を目指し、2020年から共同で実証実験を進めており、今年度は秋ごろに福岡市で課題の検証を予定している。今後は共同での実証事業検討を加速させ、2025年度からドローンを使った実店舗から離島への配送サービスを展開し、日本の地域課題の解決を目指す。【Aviation Wire News】

【日経新聞提供】

2. シェラトン東京ベイホテルが737シミュレーター導入

シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉・浦安市)は7月25日、ホテル内にボーイング737型機のフライトシミュレーターを8月1日から設置すると発表した。資格を保有するインスタラクターが指導し、パイロット体験を提供する。また、前政府専用機「B-747-400」のスペアパーツを活用した客室のモックアップも設置。シミュレーターとモックアップの両方を導入するのは、ホテル業界としては世界初となる。フライトシミュレーター「SKY Experience」は、実物大の操縦かんやスイッチなどを搭載。ソフトウェアもボーイングと同じものを使用し、本物のコックピットを再現する。体験中は操縦士技能証明の資格を所持するインストラクターが指導する。世界中の約4万5000空港から好きな飛行ルートや時間を設定し、本格的な飛行体験を提供する。同時に導入する客室のモックアップは全長約13メートル。2019年3月末で退役した初代政府専用機の座席やカーペットなどを設置する。フライトシミュレーターはモックアップと併設する。フライトシミュレーターと客室のモックアップは、いずれもフライトシミュレーターでの訓練事業を展開するスカイアートジャパン(Skyart JAPAN、東京・品川)が運営。同社は旧政府専用機のスペアパーツ販売も手がけている。1-2人で利用できる30分コースと、1-4人で利用できる70分コースの2つを用意する。いずれも10分間のブリーフィングを含む。宿泊者の利用料金は、30分コースが1万5000円から、70分コースが3万円から。宿泊者以外は30分1万9800円、70分3万9600円で利用できる。シェラトンによると設置は期間限定ではなく、無期限で運営するという。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:シェラトン東京ベイホテルの設置された737型機シミュレータ】