KIT航空宇宙ニュース2021WK03

KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2021WK03

 

海外のニュース

1.ICAO、2020年の世界旅客60%減 航空会社の潜在的損失40兆円

国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)は1月15日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、2020年の国際線と国内線を合わせた世界の総旅客数は2019年比60%減の18億人と、劇的な減少に見舞われたと発表。ICAOによると、2003年並みの水準だという。世界の航空会社は2020年1年間で提供座席数を51%削減し、乗客数は28億5100万人減少。世界全体で総額約3910億ドル(40兆6014億円)の潜在的な旅客収入を喪失した。財務上の損失は3700億ドルに上るとしている。【Aviation Wire News】

 

2.Volocopter 社はeVTOLの米国でのフライトが可能となるための認証取得申請

ドイツのUrban air mobility company であるVolocopter 社は、Autonomous, electric vertical take-off and landing (eVTOL) passenger droneの米国でのフライトが可能となるための認証を取得するため、米国連邦航空局(FAA)の許可を受けたと発表。同社は、12 月にFAA が米国とヨーロッパの両方で「同時型式証明検証の申請」を受け入れたとしている。同社は、昨年の9月にJALと提携し、3年後を目途に日本での運航を開始することを目指している。【Flight global News】

【Volocopter社提供】

 

2.Virgin Orbit社が747-400からロケットを打ち上げることに成功

1月17日に同社のモハーベ航空宇宙ポートから離陸した後、747-400型機はチャンネル諸島の南約43nm(79.6km)の場所からLauncher Oneロケットはスムーズに放出された後、2段式ロケットが点火した。Launcher Oneロケットは10個のCube Satを正確な目標軌道に載せ、宇宙への手頃で応答性の高いアクセスを提供すると、Virgin Orbit社は述べている。

軌道上にある12個のCubeSatは、NASAのローンチサービスプログラムの一部。同社は、空中発射の液体燃料ロケットが宇宙に到達するのはこれが初めてだと付け加えた。【Flightglobal News】

【Virgin Orbit社提供】

 

 

日本のニュース

1.JAL、パイロットのインターン追加募集

日本航空は、パイロットのインターンシップの追加コースを設け、募集を始めた。今年度は昨年11月から今月にかけて実施してきたが、希望者が多いことから追加開催を決めたという。申し込みは1月31日まで。

追加コースは2月24日から3月4日にかけて開催し、オンラインで期間中の2日間参加できる。対象は4年制大学または大学院の在籍者で、パイロットの仕事に興味がある人。模擬フライトを体験するグループワークやパイロットとの交流の場を用意する。パイロットの仕事だけではなく、プロフェッショナルとしての考え方や、働く中でのリーダーとしてのチームマネジメントを学べるという。【Aviation Wire News】

【Aviation Wire News提供】

2. JAL、木製車いすに電動アシスト機器 位置情報も通知、新千歳で4社実証実験

日本航空や野村総合研究所グループのNRIデジタル(横浜市)など4社は、空港内の移動に使用する木製車いすを活用した実証実験を新千歳空港で展開している。車いすに電動アシストと位置情報を送受信する2種類の機器を搭載し、利用客の空港内移動を安全に提供するほか、地上係員の負担軽減効果などを検証する。実証実験は1月31日までを予定。

実証実験には、JALとNRIデジタルの他、ペルモビール(東京・江東区)とunerry(東京・千代田区)も参画。2020年12月28日から新千歳空港の国内線出発・到着エリアで開始した。JALが、歩行が不自由な利用客向けに導入している木製車いすに、ペルモビールが開発した着脱式車いす電動アシストユニット「SmartDrive」を搭載し、搭乗ゲートなど勾配のある通路をスムーズに案内する。SmartDriveは着脱が可能で、木製車いすは保安検査場の金属探知機を通過できる。【Aviation Wire News】

【JAL提供】

3.中国製排除で国産ドローンに商機「長距離・長時間」タイプを共同開発

自律制御システム研究所は物流やインフラ点検向けの国産飛行ロボット(ドローン)開発に向け、エアロジーラボ(大阪府箕面市)と提携。エアロジーラボは最大飛行時間180分、飛行距離120キロメートル、可搬重量10キログラムのハイブリッドドローンを開発済みで、大型ドローンに強い。自律制御システムはエアロジーと開発・製造委託契約を結ぶことで長距離・長時間飛行が可能な国産物流ドローンの開発を目指す。ドローン市場では高シェアを占めていた中国製ドローンが安全保障セキュリティー面から事実上、排除され、国産ドローンメーカーに成長の可能性が広がっている。【ニュースイッチ】

【エアロジーラボ提供:ハイブリッド型ドローン試作機】

4.日本が月周回有人拠点「ゲートウェイ」計画に参加

米国航空宇宙局(NASA)と日本政府は2021年1月13日、月周回有人拠点「ゲートウェイ」に関して協力することを定めた了解覚書を締結し、発効したと発表。ゲートウェイは、NASAを中心とした国際共同で建設される月を回る宇宙ステーションで、将来の有人月・火星探査の拠点となる。この了解覚書に基づき、日本は宇宙飛行士が生活や作業、研究する部屋となる「I-HAB」の開発などを担当。NASAは日本人宇宙飛行士のゲートウェイへの飛行を提供する。これにより、日本人宇宙飛行士が月や火星の大地を踏みしめる可能性が見えてきた。

ゲートウェイ(Gateway)は、NASAが中心となって開発を進めている月を回る有人の宇宙ステーションで、NASAのほか、欧州やカナダ、そして日本も参画し、国際宇宙ステーション(ISS)の建設や運用のように、それぞれが技術や部品、物資補給などを提供することで構築される。最初の構成要素(モジュール)の打ち上げは2024年に予定されている。大きさはISSの約6分の1の大きさながら、建設途中から有人月探査計画「アルテミス」の拠点として使われ、宇宙飛行士が月に降り立つ際、また月から帰還した際に滞在する場所として使用されるほか、完成後は長期滞在や研究に本格的に活用。さらに、2030年代に予定されている有人火星探査に向けた予行練習の場としても活用されるなど、大きな可能性を秘めている。【マイナビニュース】

【NASA提供:ゲートウェイ想像図】