KIT航空宇宙ニュース2023WK43
海外のニュース
1. Supernal、Hyundai、Mecaer Aviationが eVTOL機用着陸装置開発パートナー契約締結
現代自動車グループ (HMG) のアドバンスト・エア・モビリティ (AAM) 会社であるSupernal、世界的な自動車および航空宇宙部品メーカーであるHymdai、およびイタリアに本拠を置く世界的な航空会社であるMecaer Aviationは、電動垂直離着陸 (eVTOL) 機用の着陸装置システムの設計および製造における提携を発表した。Hyundaiは大量生産と精密工作機械を専門とし、Mecaer は航空宇宙グレードの着陸装置システムの設計と構築に経験がある。パートナー 3 社は、着陸装置の設計と製造プロセスにおける重量、構造効率、エネルギー吸収、電子システムの統合に取り組むことで、eVTOL機の安全性と全体的なパフォーマンスを向上させるために協力する。【Flightglobal News】
【Flightglobal提供:Supernal社が開発中のeVTOL機「Supernal」】
日本のニュース
1. 成田空港、国際線コロナ後初1000万人超え 訪日客9割近く回復=23年度上期
成田国際空港会社(NAA)の2023年度上期(4-9月期)運用状況速報値によると、国際線と国内線を合わせた総旅客数は2.12倍の1657万3402人だった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)前の2019年同期と比較すると27%減だったものの、7割超えまで回復。このうち国際線はコロナ後初の1000万人超えとなった。旅客数は国際線が2.88倍(19年同期比32%減)の1266万4505人で、このうち日本人は2.37倍(58%減)の311万6189人、外国人が7.00倍(13%減)の804万2880人、通過客が22%減(22%減)の150万5436人となった。また、国内線の旅客数は14%増(2%減)の390万8897人となった。国際線は水際対策の撤廃により訪日客が大幅に増加。コロナ前の9割近くまで戻した。一方で日本人客は4割超えにとどまり、回復に差がみられる。また国内線はコロナ前とほぼ同等の水準に到達し、年度上期として2位を記録した。【Aviation wire news】
2. トキエア、就航は「整備規程の修正後」準備に注力、新たな就航日明言なし
新潟空港を拠点に就航を目指すトキエアの長谷川政樹社長は10月27日、新潟空港で会見を開き、就航に向けた進捗(しんちょく)状況を説明した。保有する2機のATR72-600型機の「耐空証明(AC=Airworthiness Certificates)検査」終了後、整備規程の修正に注力し、新たな就航日を発表する。就航日は一連の準備が整い次第発表し、今回の会見では明言を避けた。会見には同社で安全統括管理者を務める宮崎邦夫取締役も出席し、準備の進み具合を説明した。就航には国土交通省航空局(JCAB)による耐空証明検査に加え、社内で「施設検査」と呼ぶ運航管理施設の検査、整備規程の検査が必要だという。このうち自動車の「車検」にあたる耐空検査は、機体の強度や構造、性能、騒音、エンジンの排出物などを検査し、検査基準を満たした場合に国交省がACを発行する。有効期間は1年間。保有する2機のうち2号機は10月30日から11月2日まで、初号機は11月7日から10日まで、それぞれ新潟空港で実施する。運航管理施設の検査は9月25日に終了。JCABから指摘された事項を10月6日付で提出しており、現在は返答待ちだという。整備規程は7月25日に提出済みで、指摘事項を修正し再提出する。宮崎取締役は「期限を迎える耐空検査を優先させる。耐空検査終了後に整備規程の修正に注力し、就航に備える」と説明した。トキエアは当初、2022年の就航を計画していたが、今年6月30日に延期となり、6月に入ると8月10日に再延期となるなど、延期を重ねている。資金調達など就航延期による影響について、長谷川社長は「多少余裕を持たせて計画している。出資の協力いただきながら対応する」と述べた。【Aviation wire news】
【Aviation Wire提供:新潟空港で就航を待つ、トキエアのATR72-600型機】
3. 成田空港舞台に短編映画『空の港のありがとう』24年夏公開
成田空港地域映画製作委員会と吉本興業が、短編映画『空の港のありがとう』を制作する。成田市内の空港関連産業で働くスタッフにスポットを当てた作品で、同市出身のYuki Saitoさんが監督・脚本を手掛け、主演は清水美砂さん。公開は2024年夏を予定している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で旅客需要が大きく落ち込んだ成田空港。利用者は戻りつつあるものの、空港を支えるグランドハンドリングや保安検査といった空港関連産業は人手不足が課題となっており、地元出身でテレビ朝日系テレビドラマ『おっさんずラブ』などを手掛けてきたSaitoさんが監督と脚本を担当することになった。撮影は10月28日から30日に成田空港内と成田市内で行う。4月に第16回沖縄国際映画祭でワールドプレミア後、夏に公開となる見通し。【Aviation wire news】
4. ANA/JAL共同離島事業、協議会設立 5社連携強化、九州コードシェア継続
天草エアラインとオリエンタルエアブリッジ、日本エアコミューターの九州3社と全日本空輸、日本航空は10月25日、地域航空サービスアライアンス協議会(EAS Alliance)を設立した。5社が2019年から取り組んできた地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合(EAS LLP)を基礎とし、協業体制の維持と深化をさらに進め、地域航空会社が担う離島・生活路線の維持・発展や就航地域の活性化を目指す。活動期間は2028年3月31日までの約4年間。九州3社の機材は仏ATR製のターボプロップ(プロペラ)機で、同型機を運航する地域航空会社の協業促進や、安全基盤の確立と安定運航確保への技術協力のほか、需要喚起や管理業務の効率化などを進めていく。会員は設立5社で、協業できる航空会社は新会員として加入できるようにする。EAS Allianceの基となったEAS LLPは4年前の2019年10月25日に設立し、今年10月24日までの4年間活動した。EAS LLPは2022年冬ダイヤ初日の同年10月30日から、大手2社の系列を超えたコードシェア(共同運航)を開始。このほか機体予備部品の共用化、機材更新時の新造機導入支援などで協業しており、EAS Allianceの設立により協業体制をさらに強化する。【Aviation wire news】
【Aviation Wire提供:ゲートの前に並んだ5社の客室乗務員】
5. 月に挑む日本の最新宇宙モビリティが一堂に、JAPAN MOBILITY SHOW 2023
自動車を中心にさまざまな次世代モビリティが一堂に会する「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」。10月28日からの一般公開を前に25日にプレスデーとして、各社のEVコンセプトモデルなどが披露された。同展はこれまでの東京モーターショーから生まれ変わったイベントで、自動車に限らず、陸海空あらゆるモビリティが集まり、未来の社会を見せるイベントとなっている。従来から参加する自動車メーカーやティア1などの関連企業のブースに加え、モビリティの枠を超えて、他産業やスタートアップなど新しい仲間と一緒に作る企画として、「Tokyo Future Tour」、「Startup Future Factory」、「Japan Future Session」の3つのシンボルコンテンツも用意。そのうちの1つで、「モビリティが変える未来の東京」を体感できるTokyo Future Tourは、「LIFE & モビリティ」、「EMERGENCY & モビリティ」、「PLAY & モビリティ」、そして「FOOD & モビリティ」の4つのエリアで構成。そのうちの一角に、日本の宇宙が目指す月探査に向けたモビリティが展示されている。主な展示はispaceの民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」で用いられたシリーズ1ランダーとローバの模型、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙探査イノベーションハブと日産自動車が共同研究を行っている「月面ローバ研究モデル」の実機デモ、JAXAとトヨタ自動車などが共同で開発している月面での有人探査活動に必要な有人与圧ローバ「ルナクルーザー」の模型と、1/1スケールの居住スペース、ブリヂストン製の月面探査車用タイヤプロトタイプなど。【マイナビニュース】
【マイナビニュー提供:JAXAとトヨタが共同開発した有人与圧ローバ「ルナクルーザー」の模型】
6. Space BDと九工大が高校生向けに宇宙起業家教育プログラムを実施へ!
Space BDと九州工業大学(九工大)は、高校生を対象にした宇宙・衛星開発アントレプレナーシップ教育プログラム(Space Business Bootcamp)を2023年11月12日より開催することを発表した。Space BDは、これからの変化の激しい社会に求められる力を育成するための基礎となるさまざまなプログラムとして、未知への挑戦やグローバル舞台の体現と言える宇宙をテーマに据えたアントレプレナーシップ教育として展開してきた。このプログラムでは、宇宙スタートアップ企業として歩んだ同社の軌跡や実体験を、経営実践者や社員を通じて提供し、また衛星打ち上げや国際宇宙ステーション(ISS)の利用に関するアセットを活用しながら、よりビジネスのリアルに迫る体験の場を提供しているとする。一方の九工大は、学術機関における小型・超小型衛星の運用数が国内トップクラスであり、世界でも有数の研究開発環境や宇宙人材が集結している。また同大学は2022年8月にSpace BDとの間で包括協力協定を締結。それを受け両者は、宇宙産業のさらなる活性化・効率化を目指した宇宙技術の製品化・サービス化などの検討を進めてきたのに加え、双方のノウハウやケーパビリティを活かした宇宙人材の教育に向けても協力を行ってきたとのことだ。九工大は現在、科学技術振興機構(JST)による「大学・エコシステム推進型スタートアップ・エコシステム形成支援」の採択を受け、九州・沖縄圏の19機関からなる大学発スタートアップ創出推進拠点(PARKS)を共同主幹機関として運営している。そして今年度はさらに、EDGE-PRIME Initiativeによる追加支援を受け、アントレプレナーシップ教育の提供範囲を高校生などへと拡大することになったという。【マイナビニュース】
【マイナビニュース提供:Space BDと九工大の高校生向けに宇宙起業家教育プログラム】