KIT航空宇宙ニュース2021WK33

航空機用600KW電動パワートレインの地上試験
お知らせ

KIT航空宇宙ニュース2021WK33
海外のニュース
1.米ヴァージンの宇宙旅行、価格は約5000万円 – 商業運航は2022年後半から
米国の宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックは、宇宙旅行のチケットの販売を再開すると発表した。価格は1人あたり45万ドル(約5000万円)。以前は25万ドルで販売されていたが、倍近くにまで値上がりした。墜落事故を受けた改修や、新型機の開発などが影響したものとみられる。商業運航の開始は2022年後半を見込む。ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)は、実業家のリチャード・ブランソン氏らが立ち上げた米国企業で、自社開発の宇宙船による、サブオービタル飛行による宇宙旅行の実現を目指している。サブオービタル飛行とは、宇宙の入口である高度80~100kmまで行って、すぐに降下して帰ってくるというもの。地球の軌道に乗る宇宙船とは異なり、宇宙空間にいられるのはわずか数分間だが、窓から青い地球や黒い宇宙空間を眺めることができ、船内は微小重力(いわゆる無重力)状態になるため、宇宙にいる感覚を味わうことができる。宇宙旅行のほか、微小重力環境を生かした実験や、天体観測などの需要が見込まれている。【マイナビニュース】

【マイナビニュース提供:Virgin Galactic社が開発した宇宙船スペースシップ2】

2. ブラジルのエンブラエル社が開発した電動EMB-203イパネマが初飛行
エンブラエル社は、将来の航空機プロジェクトで使用するための電気技術を開発するため、同社のプロジェクトの一部である、電動EMB-203イパネマの初飛行を完了した。電気EMB-203の飛行試験は、サンパウロ州のGaviao Peixotoにある同社施設で行われた。「電力、性能、制御、熱管理、および操作の安全性は、この初飛行で評価された」とエンブラエル社は述べている。「目標は、2019年後半から行われている計算シミュレーション、実験室テスト、技術の地上統合から得られた結果を通じて、実際の飛行条件を実証すること」とも述べている。今回初飛行した航空機は、単一のライカミングエンジンを搭載した農薬散布などのミッションに適した農業用航空機として販売しているEMB-203型機(イパネマ)を改造したものです。【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:電動航空機に改造されたEMB-203イパネマ】

3. イブ・アーバンエアモビリティ・ソリューションズ社とケニア航空が提携
ブラジルのエンブラエル社子会社であるイブ・アーバンエアモビリティ・ソリューションズ(Eve Urban Air Mobility Solutions:以下イブ)社は、ケニア航空子会社のファハリ航空(Fahari Aviation)を通じて、ケニアのフラッグキャリアであるケニア航空と覚書に署名した。この提携は、アーバンエアモビリティ(UAM)の幅広い運用モデルを開発することを目的としています。さらに、電気垂直離着陸(eVTOL)航空機を安全に就航させるための概念と手順の基盤を確立することを目指している。イブ社は、ケニア航空の無人航空機システム(UAS)部門であるファハリ航空をサポートし、地域でのUASの安全で確実な使用を促進し、UAMネットワークを確立、必要な都市航空交通管理(UATM)手順とUAM運用環境で協力する。この提携により、ファハリ航空はイブ社の電気垂直離着陸航空機および製品開発プロセスをサポートできるようになり、UAMとケニア航空の全体的な運用の統合を支援する。イブ社の電気垂直離着陸航空機は、低騒音の特徴と排出物のない地域に優しい航空機でありながら、すべての人がアクセスできるように設計されている。【Flightglobal News】

【イブ社提供:イブ社が開発中のeVTOL機イブ】

4. アンペール社がハイブリッド電動航空機の初飛行に成功
電気航空機開発のリーダーである英国アンペール(Ampaire)社は、スコットランドで初のハイブリッド電動飛行を行い、オークニー諸島のカークウォール空港(KOI)からスコットランド本土北部の地方空港ウィックジョンオグローツ空港(WIC)までペントランド海峡を横断した。これは、ハイランド・アンド・アイランズ・エアポート・リミテッド(HIAL)が主導している持続可能な航空試験環境(SATE)プロジェクトの一部として行われた。英国研究技術革新機構(UKRI)が産業戦略チャレンジ基金を通じて資金を提供しているSATEプロジェクトは、オークニー諸島のカークウォール空港に拠点を置いている。この空港には、英国初の運用ベースの低炭素航空テストセンターもある。SATEは、低炭素航空技術をテストし、持続可能な航空をサポートするために必要な空港インフラストラクチャを調査するために作成されたUKRIのFuture Flight Challengeの一部です。アンペール社の電動技術実証機である、改造された6人乗りのCessna 337は、バッテリー電源と従来の内燃エンジンを搭載。同社は、二酸化炭素排出量と運用コストを当初25%削減し、地域の航空会社がスコットランドおよび世界中のライフラインルートにより良いサービスを提供できるようハイブリッド電動パワートレインの改良型を開発している。【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:Ampaire社が改造したハイブリッド電動Cessna 337型機】

5. EAGは水素燃料電池を選択– 90人乗り–シティジェット・プログラムを支援
英国に本拠を置くElectric Aviation Group(EAG)は、温室効果ガスの排出をゼロにするため、将来のリージョナル航空機にH2ERA水素燃料電池ベースのパワートレインを選択した。しかし、この変更は、90-100人乗り航空機の就航が以前に計画されていた2028年ではなく、2030年に延期されることを意味する。H2ERAは昨年ハイブリッド電気パワートレインを発売したが、EAGは多くの可能な代替案を評価してきた。ジェット燃料の代わりに従来のエンジンで水素を燃焼してもCO2は発生しないが、NOx排出量は依然として問題ですが、その点、水素燃料電池はNOxの発生はない。小型航空機(たとえば、Zero Avia社によって改造された6人乗りのパイパーPA-46マリブ)に電力を供給するために、水素燃料電池が使用されてきたが、これまでのところ、90-100人乗りサイズの航空機ではテストされていない。EAGの計画では、最大100人の乗客を乗せ、360kt(666km / h)で巡航し、最小航続距離は1,200nm(2,220km)で、基本的にDe Havilland Canada Dash8-400および同様の航空機を目指している。 【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:H2ERAリージョナル航空機の想像図】

6. Zero Avia社が航空用600KW水素燃料電池パワートレインの高出力地上試験実施
Zero Avia社は、19席の航空機で使用する600 kW水素燃料電池パワートレインの開発を開始したが、水素燃料電池推進航空機HyFlyerIIプログラムの最初の主要なマイルストーンを達成した。地上試験には、Zero Aviaの飛行を目的とした600 kWパワートレイン(ZA-600)が含まれ、Zero Avia社の新しい15トンHyper Truckモバイル地上試験プラットフォームが使用された。大型のM977HEMTT軍用トラックをベースに開発されたHyper Truckは、同社のZA-2000 2MW+のパワートレインサイズであり、40〜80席の水素電気航空機のシステムテストに使用可能。600 kW推進システムの地上試験は、同社のHyFlyer IIプログラムの開発を進め、10〜20席の機体に水素ゼロエミッション推進システムを提供する。【Flightglobal News】

【Flightglobal提供:航空用600KW水素燃料電池パワートレインの高出力地上試験】

日本のニュース
1. 日航機事故36年
乗客乗員520人が亡くなった日本航空123便墜落事故から、8月12日で36年が経った。日本航空によると、墜落現場となった群馬県多野郡上野村の御巣鷹山を訪れた遺族は、午後4時の時点で昨年とほぼ同数の50家族143人だった。昨年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止となった前日の灯篭流しは、今年は関係者による代替行事が開かれた。慰霊登山に訪れた遺族がもっとも多かったのは、事故後30年を迎えた2015年の106家族406人、2番目は20年目の2005年の103家族405人だった。昨年は2019年より30家族135人少なく、約半数となる50家族141人が御巣鷹山を訪れた。12日夜に上野村の追悼施設「慰霊の園」で例年開かれている追悼慰霊式は、感染拡大防止のため2年連続で遺族の参列が見送られた。1985年8月12日午後6時56分に墜落した羽田発伊丹行きJL123便(ボーイング747SR-100型機、登録記号JA8119)には、乗客509人と乗員15人の524人が乗っていた。JALでは9割以上の社員が事故後の入社となり、村でも代替わりが進んでおり、事故の記憶を風化させない取り組みが不可欠になっている。【Aviation Wire News】

【Yahooニュース提供:墜落現場に建てられている昇魂之碑の前でお祈りするご遺族】