KIT航空宇宙ニュース2024WK03

JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」が1月20日、月面着陸に成功、米国、ロシア、中国、インドに次いで、世界で5か国目。
KIT航空宇宙ニュース

KIT航空宇宙ニュース2024WK03

海外のニュース

1. 静かな超音速機X-59、NASAとロッキード・スカンクワークスが公開 ソニックブーム抑制を実証

NASA(米国航空宇宙局)とロッキード・マーチンは、静粛超音速実証機X-59をこのほど公開した。陸上での超音速飛行が1973年から禁止されている中、FAA(米国連邦航空局)が許容可能な騒音基準の実現を目指すNASAの「Quesst」ミッションの目玉となるもので、今年後半の初飛行を目指す。X-59は、ロッキード・マーチンのスカンクワークスがNASAとともに開発。スカンクワークスは、合併前のロッキード時代に開発したステルス攻撃機F-117「ナイトホーク」など特殊な機体を数多く手掛け、X-59は米カリフォルニア州パームデールで現地時間1月12日にロールアウトした。「ドン、ドーン」と打ち上げ花火や落雷のような音を伴う衝撃波「ソニックブーム」を抑え、陸上での商用超音速飛行の実現を目指す。X-59は音速の1.4倍、時速925マイル(約1489キロ)での飛行を目指す。大きさは全長99.7フィート(約30.4メートル)、全幅29.5フィート(約9.0メートル)で、先細りした機首は全長のほぼ3分の1を占め、通常超音速機がソニックブームを引き起こす衝撃波を緩和する。また、Quesstのチームはエンジンを上部に搭載した機体を設計し、衝撃波が機体後方に合流してソニックブームを引き起こさないようにした。この形状から、コックピットは機体の長さのほぼ半分に位置し、前方を向いた窓はなく、コックピットに設置された4KモニターにQuesstチームが開発した高解像度カメラ「eXternal Vision System」が捉えた映像を流す。今後は統合システムテスト、エンジン始動、地上走行の各試験を実施。初飛行後はいくつかの飛行試験を実施後、カリフォルニア州エドワーズにあるNASAのアームストロング飛行研究センターに拠点を移し、静粛超音速飛行の実現を目指す。NASAによる飛行試験後は、NASAがX-59を米国内の数都市の上空で飛行させ、X-59が発生させる音と人々がこれをどのように感じるかの意見を集め、FAAや国際規制当局に提供する。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:静粛超音速実証機X-59】

2. FAA、737MAXドアプラグ脱落でボーイング監視強化「完全に納得するまで空に戻らない」

FAA(米国連邦航空局)は現地時間1月12日、アラスカ航空が運航するボーイング737 MAX 9のドアプラグが離陸直後に脱落した事故を受け、ボーイングの生産・製造に対する監視を強化する重要措置を発表した。737 MAX 9の製造ラインやサプライヤーを対象に監視し、ボーイングへの権限移譲と品質管理の安全リスク評価などを進めていく。FAAは前日11日に、ボーイングに対して調査を実施すると通告。事故後初の立入調査となった。日本時間13日には、運航再開に向けた検査や整備プロセスの承認に向け、ボーイングに追加データを提出するよう求めた。FAAによると、ボーイングが提案した点検整備要領書を検討した結果、FAAが承認する前に追加データが必要であると判断し、40機のプラグドア検査を要求した。事故機では、航空会社の仕様により非常口ドアとして使用されるドアプラグが離陸直後に脱落し、機内で急減圧が起きた。アラスカ機の場合、外から見るとドアプラグを確認できるが、客室からは通常の壁と同じように見える。FAAのマイケル・ウィテカー長官は「ボーイング737-9 MAXが安全であると我々が完全に納得するまで、空に戻ることはない」との声明を発表。「737-9の運航停止やここ数年で確認された製造関連の複数の問題から、リスクを軽減するためにあらゆる選択肢を検討する必要がある」(ウィテカー長官)として、FAAは、ボーイングの検査と品質システムを監督する独立した第三者機関の立ち上げを検討している。日本国内では、同型機を運航している航空会社はなく、737 MAXを今後導入する社でも737 MAX 9を発注したところはない。【Aviation wire news】

【Yahooニュース提供:発見されたアラスカ航空の737MAX-9機から落下した非常口ドア】

3. サフランとONERAが将来のオープン・ファン・エンジンの風洞試験を開始

Safran Aircraft Enginesとフランスの国立航空宇宙研究機関ONERAは、将来のオープン・ファン・エンジンの1:5 スケール・デモンストレーターである ECOENGInE による最初の風洞試験を開始した。試験はフランスのモダーヌにあるONERAの風洞施設で行われる。この革新的技術は、CFM RISE技術デモンストレーションプログラムの重要な柱であり、現在、航空の環境負荷を削減するという点で最も有望です。オープン・ファンは、2035年までに次世代の単通路商用ジェット機向けに、燃料消費量とCO 2排出量を20% 削減し、SAF(持続可能な航空燃料)と組み合わせることで最大80%削減することを目指している。オープン・ファンの空気力学と音響を成熟させるプロセスをサポートするために、Safran Aircraft Enginesと ONERAは最近、ECOENGInE の以前の試験に基づいて、2024年から2028年までの野心的な試験計画(CORAC)に関する枠組み協定を締結した。CORAC計画の一環としてフランス民間航空局 (DGAC) が支援する ECOENGInE の試験は、風洞内で実際の対気速度をシミュレートすることでファン・モジュールの空力性能と音響性能を実証し、ファン・モジュールの設計を検証することを目的としている。ファンブレードはエンジンの全体的な効率において重要な役割を果たす。このキャンペーンでは合計200時間以上のテストが実行され、その後、デモ機の翼部分に搭載されたエンジンによるシミュレーションテストが行​​われる。これらのテストでは、Safran Aircraft Engines はONERAチームの知識と専門知識、および世界最大の音速風洞(SIMA)使用の恩恵を受けている。S1MA風洞は、幅8メートルを超えるサイズと気流速度の点でユニークな試験施設であり、エンジンを単独で、または翼構造に取り付けて試験することが可能。したがって、次世代航空機用の新しい推進システムの開発において重要な役割を果たす。【Safran News】

【Safran提供:仏国立航空宇宙研究機関ONERAの風洞に設置されたオープン・ファンECOENGInEの1/5スケールモデル】

4. Airbusが最初の ZEROe エンジン燃料電池の電源投入に成功

2023年後半、ZEROeチームは、エアバスの電気コンセプト航空機用に設計された将来の水素推進システムであるアイアン・ポッド(地上リグテスト用設備)に電源を投入しました。水素燃料電池システムと同様に、アイアン・ポッドには、プロペラを回転させるために必要な電気モーターと、それらを制御して冷却するユニットが含まれている。1.2メガワットでの電源投入に成功したことは、2035年までに水素推進航空機を就航させるというエアバスのZEROeロードマップにおける極めて重要な一歩となる。2020年、エアバスは4つの水素燃料航空機コンセプトを一般公開した。3つは動力として水素燃焼エンジンとハイブリッド・エンジンを使用し、4つ目は水素燃料電池とプロペラ推進システムを使用した完全電気式でした。この燃料電池は、化学反応を通じて水素を電気に変換することで機能する。反応の副生成物は単純な水であり、CO2排出はほぼゼロになる。航空を脱炭素化する水素燃料電池の大きな可能性により、水素燃料電池はZEROeデモンストレーターでさらに研究される重要な技術の1つとして選ばれたが、課題もあった。プロジェクトが始まったとき、水素燃料電池はすでに市場に存在していたが、許容可能な重量レベルを保ちながら航空機に動力を供給するのに必要なエネルギーを提供するものはなかった。そこでエアバスは2020年10月、ZEROe航空機の電気推進システムの中核となる水素燃料電池スタックを開発するため、エリングクリンガーとの合弁会社エアロスタックを設立した。2023年6月、エアバスは水素燃料電池システムの試験キャンペーンが成功し、最大出力レベル1.2メガワットに達したと発表した。これは、大型航空機用に設計された燃料電池の航空業界でこれまでに達成された最も強力なテストであり、完全な推進システムと電気モーターを統合するというプロジェクトの次の大きなステップへの準備となった。【Airbus News Letter】

【Airbus提供:ドイツのオットブルンにある E-Aircraft System House (EAS)にある水素燃料電試験設備アイアン・ポッド】

日本のニュース

1. JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」が月面着陸に成功、世界で5か国目

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月20日、同日0時20分(日本標準時)に小型月着陸実証機「SLIM」が月面に着陸したことを確認し、月着陸に成功したと判断されると発表した。着陸後の通信の確立にも成功しているという。SLIMは、月への100mオーダーという高精度着陸技術の実証と、軽量な月惑星探査システムの実現による月惑星探査の高頻度化の2つの実現を目指して実施されているミッションで、同実証機は2023年9月7日、H-IIAロケット47号機に搭載される形で打ち上げられていた。月面着陸の成功は、世界的には旧ソ連(ロシア)・米国・中国・インドに次ぐ5カ国目となる。ただし、太陽電池が電力を発生していない状況とのことで、現在、JAXAでは月面からのデータ取得を優先して取り組んでいるという。なお、SLIMにはペイロードとして、超小型月面探査ローバ「LEV-1」および変形型月面ロボット「LEV-2」(SORA-Q)が搭載されていたが、月着陸に向けた降下中に分離、現時点で月に降り立ったLEV-1からも地球に向けて送られてきた電波も受信しており、LEV-1、LEV-2ともに無事に分離できたものと考えられるとJAXAでは説明しており、今後、詳細なデータ解析を進めていくとしている。【マイナビニュース】

【Yahooニュース提供:月面に着陸した月面探査機「SLIM」の想像図】

2. 23年訪日客、4年ぶり2500万人超え 水際撤廃で急回復

日本政府観光局(JNTO)が1月17日に発表した訪日外客数2023年推計値によると、訪日客数は2506万6100人で、過去最高だった2019年以来4年ぶりに2500万人を突破した。水際措置を撤廃した4月以降は急回復しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前の2019年と比較すると21.4%減で8割近くまで回復した。出国日本人数は2019年比52.1%減の962万4100人で、1000万人超えが目前となった。訪日客数の最高記録は、2019年の3188万2049人。JNTOが重点市場としているのは23カ国・地域で、4月分から北欧地域が加わった。23市場のうち10万人を割り込んだのは メキシコとロシアの2市場のみだった。政府は4月29日付で水際措置を撤廃。訪日客は6月以降200万人台で推移し、10月と12月はコロナ前の水準を上回るなど、順調に回復している。23市場のうちコロナ前を上回ったのは9市場で、韓国とシンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、米国、カナダ、メキシコ、中東の各市場で堅調に推移した。【Aviation wire news】

3. トキエア、航空券19日から販売開始 新潟-札幌丘珠1/31就航

新潟空港を拠点に就航を目指すトキエアは1月18日、航空券販売をあす19日午前9時から始めると発表した。1路線目の新潟-札幌(丘珠)線を31日に開設する。最安は予約変更できない運賃で片道6900円から。運航日は月曜、金曜と土曜、日曜の週4日で、1日あたり2往復4便。1往復目の札幌(丘珠)行きBV101便は新潟を午前9時30分に出発し、午前11時10分着。折り返しの新潟行きBV102便は午前11時50分に丘珠を出発して午後1時35分に着く。2往復目の丘珠行きBV103便は午後2時15分に新潟を出発し、午後3時55分着。新潟行きBV104便は午後4時35分に出発して午後6時20分に到着する。機材は仏ATR製ATR72-600型機(1クラス72席)を使用する。運賃は、予約変更可能で当日まで購入できる空席連動型の「トキビズ」が片道2万4000円から2万9000円、出発時刻の72時間前まで購入でき、予約変更できない「トキトク」が6900円から1万9900円、搭乗日の3日前から購入でき予約変更できない12歳から25歳の利用者限定の「トキユニ」が1万2500円、障がい者割引運賃が1万6900円となっている。トキビズとトキトクは子供運賃を設定する。航空券は同社ウェブサイトとコールセンターで販売する。トキエアは当初2022年の就航を計画していた。その後2023年6月30日に延期となり、6月に入ると8月10日、8月下旬と延期が繰り返され、1月31日就航を11月29日に発表した。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:トキエアのATR72-600型機】

4. JAL、新社長に鳥取専務 初の女性、JASのCA出身

日本航空は1月17日、新社長に鳥取三津子専務(59)が就任する4月1日以降の役員体制を発表した。赤坂祐二社長(62)は代表権のある会長に退き、植木義晴会長(71)は退任する。JALでは初の女性社長、初の客室乗務員出身で、統合前の日本エアシステム(JAS)出身でも初の社長就任となる。鳥取新社長は、1985年4月に客室乗務員として東亜国内航空(TDA、のちにJAS、現JAL)に入社。成田第2客室乗員部部長や客室安全推進部部長、客室本部長を歴任し、2022年4月に常務執行役員 客室本部長、2023年4月から専務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長、同年6月からは代表権のある専務務執行役員 カスタマー・エクスペリエンス本部長、グループCCO(最高顧客責任者)を務めている。都内で17日に開かれた会見で、鳥取氏は「御巣鷹山のJAL123便事故が起きた1985年に客室乗務員として乗務を始めた。当時を知る者として、安全運航の大切さを次の世代に伝えていく責任がある」とあいさつした。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:左が赤坂現社長、右が鳥取新社長】

5. 新千歳空港、大韓A330翼端がキャセイ777尾部に接触 プッシュバック中に牽引車スリップ

札幌・新千歳空港で1月16日午後5時30分ごろ、国際線エリアの70番スポット(駐機場)を出発した大韓航空のソウル(仁川)行きKE766便(エアバスA330-300型機)の左主翼の翼端が、隣の69番スポットに駐機してあったキャセイパシフィック航空のボーイング777-300型機の機体尾部右側付近に接触した。KE766便の乗客乗員289人にけがはなく、キャセイ機に乗客乗員は乗っていなかった。火災や燃料漏れなどは確認されていない。KE766便は、16日午後2時に出発予定だったが、雪の影響で出発が3時間半遅れていた。スポットからトーイングカー(牽引車)でプッシュバックして出発した際、大韓機の左主翼端にある「ウイングレット」が、駐機中のキャセイ機に接触した。大韓機のウイングレットは折れ曲がり、キャセイ機は尾部右側のAPU(補助動力装置)付近の外観が損傷した。大韓航空によると、新千歳では委託先である日本航空のグループ会社がプッシュバックなどのランプハンドリングを行っており、トーイングカーがスリップしたという。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:牽引車のスリップによって右のキャセイ航空の尾部に接触した大韓航空機のウィングレット(左)】

6. JALの767貨物機、成田1/17着へ 14年ぶり専用機

日本航空のボーイング767-300ER型機の旅客機を改修した貨物専用機が、1月17日に成田空港へ到着する見通しだ。2月19日から成田と中部を起点とし、台北(桃園)、ソウル(仁川)、上海(浦東)の東アジア3都市へ運航する。JALが貨物機を導入するのは2010年度以来約14年ぶりで、物流の2024年問題に対応する。貨物機専用機はJL8160便として、シンガポールのパヤ・レバー空港を現地時間17日午前8時30分に出発する見通しで、成田着は同日午後4時40分を予定している。貨物機はJALが保有する中型旅客機767-300ERを改修して3機導入。最大搭載重量は上部貨物室が32トン、下部貨物室が16トンで、上部にはパレットを24台、下部にはパレット3台に加え、コンテナを9台搭載できる。3路線設定する貨物専用便はいずれも三角運航で、台北とソウルは2月19日から週5便ずつ、上海は3月1日から週6便運航する。台北行きは成田を出発し、台北からは中部へ戻る。ソウル行きは中部を出発し、ソウルからは成田へ戻る。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:成田空港に到着したJALの貨物専用機(767-300ER型)】

7. 南紀白浜空港、落下物・ドローンを映像解析 NECらと実証、保安業務の省力・高度化へ

南紀白浜空港を運営する南紀白浜エアポートは、映像解析技術を用いて落下物やドローンなどを検知する実証実験を1月11日に開始した。滑走路と周辺空域を対象とし、富士フイルム、NEC、日立製作所と共同で実証する。障害物を効率的に発見し、空港保安業務の省力化と高度化を図る。2025年3月31日まで。今回の実証実験では、空港内に設置した富士フイルムの遠望カメラ「SXシリーズ」で滑走路と周辺空域を撮影。NECと日立が映像データを解析し、NECは滑走路上の落下物を、日立が空域のドローンなどを検知する。実証実験を通じ、遠望カメラの効果的な設置場所の選定や滑走路上の落下物、周辺空域のドローン検知可否を検証し、監視業務の実運用への課題を洗い出す。障害物の監視業務は、航空機の安全な離着陸のために重要だ。南紀白浜空港では空港職員が1日2回、車両を走行し目視で点検しているが、滑走路上で小石サイズの障害物を発見することは困難となっている。またドローンの検知も広大な空域を目視で監視していることから、デジタル技術を活用した障害物監視業務の高度化・効率化が求められる。【Aviation wire news】

【Aviation Wire提供:南紀白浜空港における実証技術イメージ図】

8. IHI、航空機のジェットエンジンに内蔵可能な1MW級の電動機を開発

IHIは、航空機ジェットエンジン後方のテールコーン内部に搭載可能な1MW級の電動機を国内各社と連携し開発したことを発表した。この開発プロジェクトは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「航空機用先進システム実用化プロジェクト」の委託業務「次世代エンジン電動推進システム研究開発/電動ハイブリッドシステム」において実施されたもの。同社は、航空機のCO2排出量削減に向けた技術革新として、エンジンを含む航空機システム全体のエネルギーマネジメントの最適化を目指す「航空機・エンジン電動化システム「MEAAP(ミープ)」)」を提唱しており、今回の開発はその実現に向けた取り組みの一環となる。今回開発されたエンジン内蔵型電動機は、航空機内の電力需要増加に対応するための電力供給源としてだけでなく、現在、世界的に研究開発が行われているハイブリッド電動推進システムにおける重要なカギを握る技術として適用可能なものとなる。すでに同社は、2020年3月に現在運航中の旅客機に搭載されている最大の発電機容量クラス250kW級のエンジン内蔵型電動機の開発に成功しており、今回の開発では、この研究開発で培われた300℃耐熱絶縁被膜を有する高密度成形コイル技術や、ジェットエンジンの研究開発で培った熱・流体・構造技術を活かした新開発の排熱システム技術のほか、発電機構造の見直しによる効率改善を図ることで、ハイブリッド電動推進システムとして適用可能となる1MW級の出力が可能な電動機を実現したとのことで、電動機自体は出力要求の変化に応じて柔軟に対応することが可能な設計となっているとする。なお同社は、今後も航空機の電動化に向けたハイブリッド電動推進システムの開発に取り組み、エンジン内蔵型電動機について2020年代半ばにはエンジンに搭載した形態での実証を行うことを目標に開発を進めていく方針を示している。また、同じく開発を進めている航空機推進用大出力電動モーター、燃料電池の空気供給を担う電動ターボコンプレッサ、高磁束プラスチック磁石ロータ、電動水素ターボブロアを組み合わせ、将来のハイブリッド電動推進システムを含むさまざまな推進システムから航空機システム全体の電動化・最適化にも取り組んでいくとしている。【マイナビニュース】

【IHI提供:高耐熱電動機「エンジン内蔵型電動機」】